男っぽい女子こそ、豊かな女性性が隠れている

中村陽子/心理カウンセラー

男っぽい女子として生きてきた人。
多いのではないでしょうか。

「できない〜」と言えば許されちゃう。
そんな女性を見てカチンとくること、ありませんか。

自分はあんなふうにはなれない。
自分は女子っぽくないから。
そう思っているかもしれません。

だけど、そんな男っぽい女子の中にこそ、「女の子の私」がいるんですよね。
ピュアでかわいい、女の子の私がいるんですよね。
つまり、繊細で豊かな感性の女性性を秘めているのです。

男っぽい女子の私と、女の子の私

男っぽい女子だと思う。
並の男性より、しっかりしてる。

女なのにどこか「男っぽく生きなきゃ」と思ってきた。
「長男みたいな生き方」なところも、あるかもしれない。
だけどほんとは、心の中に女の子な私もいる。

自分の中に2つの私がいる。

男っぽい女子の私。
自分のことは、自分でできるようにならなきゃ。
自分の分は、ちゃんと自分で稼げるようにならなきゃ。

がんばるのが当たり前。
人に頼ったり、甘えたりできない。
迷惑をかけたら、悪いから。

どこか長男のような、男っぽい女子の自分。
しっかり者の自分です。

もう一人は、女の子の私。
ほんとうは、私だって誰かに頼りたい。
ひとりで頑張ってきたけど、これをずっと続けなきゃいけないのかな。
私のことを守ってくれる人、いてくれたらいいのに。

ほんとうは、私だって男性に頼りたいし、守られたい。
もう頑張らなくていいよと、言ってもらいたい。
いつまで一人で頑張らなきゃいけないんだろう。

か弱い女の子のような、自分です。

しっかり者の男っぽい女子の私と、ほんとうは守ってほしい女の子の私。

仕事や仲間内では、しっかり者の男っぽい女子として生きている。
けれど、内面には、ほんとうは守ってほしい女の子の私がいる。

“女の子の私”が、自分の中にいるのは気づいてるけど。
ふだん人に見せることは、ほとんどない。

女の子の私が、ときどきささやく。
なんか、つかれたよって。
ほんとうにほしいものは、これじゃないって。

だけど、女の子の私の声は、いつもかき消されてしまって。
男っぽい女子の私を、全面に出して、「これが私」と思いながら生きていたりするんです。

男子に勝っちゃう、男っぽい私

私自身、「私は女の子っぽくない」と 思ってきたタイプです。

「私は女の子っぽくない」と本気で思っているから、男の子をやっていた。
そんな感じだったんです。

自分のことを「男っぽい」と思う。
すると、そのイメージのとおりに、どんどん「男っぽい自分」であろうとしてしまうんです。

例えば。
小学生のころは、言葉遣いも男子っぽくしていました。
そして「自分は男っぽくて強い女子」の自己イメージを持つようになりました。

男子にも勝っちゃう。強い私。
こんなふうに 「私は、男っぽい」 「私は、勝気」 「私は、男の子に勝っちゃう」 などの自己イメージを持つようになると、どんどんそのイメージを強化する行動をとるんですね。

「男子っぽい女の子」をやってきた人が、女性が大人になったとき
仕事では実行力、決断力などを発揮できるのだけど。

恋愛のシーンで「男っぽい女子」「男子に勝っちゃう女子」は、苦戦を強いられることが少なくありません。

「私みたいな強い女は、男の人になかなかいいと思ってもらえない」
「私みたいのは、ふつうの男性は好かれない」
と思い込んでしまって

いいなと思う男性に、女子っぽく振舞うこともできなくて。

「あなたが好きかもオーラ」を、ほかの女子みたいに出すことができなくて
好きな男性とは「友達止まり」。

狙った獲物もスルーしちゃう、という状態になってしまいがちなんですね。

だって、はずかしいから。
女の子の自分を出すのが、はずかしいから。
どうやって振る舞えばいいか、わからないから。
そして、女子っぽい子に、好きな彼を持っていかれちゃう。

そして、思うんです。
やっぱり私じゃ、ダメなんだ。
私、女子っぽくないから。

合コンでは、盛り上げ役に回ります。
自分が楽しませる側に回らなきゃと買って出る。

盛り上がるんだけど、恋愛にはぜんぜん発展しなくて。
「あーあ。いいところは全部、女子っぽい子たちに持っていかれる」とため息をつく。

そんな体験、していたりしませんか。

男っぽい女子になったわけ

とはいえ
男っぽい女子になったのには、その人なりの事情があったりするんです。

「鎧としての男性性」と「役割としての男性性」を身にまとっている。
そして「鎧を着た男っぽい女子の自分」を
「これが私」と思って生きているところがあるようなんです。

例えば。
お父さんが「お前が男の子だったら、一緒にサッカーできたのに」と言っていた。
親戚が「あんたが男の子だったら、この家を継げたのに」と言った……。

ふとした一言から「男の子になることを、私は望まれているのかな?」と思ってしまうこと。実は少なくないんです。

また、実家が家業をしていて
「お父さんは、この仕事を継いでもらいたいと思ってるんじゃないかな」と思い
「女の子として生きることを、望まれていないように感じた」ということもあります。

それとは逆に、男きょうだいがいて
「女の子なんだから〇〇しちゃダメ」と言われて育ち、お兄ちゃんばかり優遇されてると感じて「女って、損」と思うこともあります。
男きょうだいの仲間に入れてもらいたくて、男の子っぽくなろうとすることもあります。

さらに。
誰かのために男の子になるケースもあります。

父親が頼りなく、母の夫役をしなければと感じた。
母親が頼りなかったので、自分が強くならなきゃいけなかった。
弟や妹たちの面倒をみるために、自分がしっかりしなきゃいけなかった。

そんなことがあると、「私が家族を守ろう、支えよう」と頑張り、男の子のような生き方になることがあります。

家庭内でのお父さんの立場があまりに弱かったり、頼りない存在すぎて、「男に頼る生き方はしちゃいけない」と思うこともあるようです。
女の子というよりは、長男。
「自分がしっかりして、この家を支えなきゃ」と感じて、男の子道を生きはじめる。


男っぽい女子が男っぽくなったのには、それなりの理由があるんです。
「(誰かのために)男の子にならなきゃ」
そんな背景があったりするんです。

また
自分を守るために「鎧を着るようになること」もあります。
お母さんのヒステリーがひどくて、その怒りを浴びる時期があったり
お父さんの暴言がひどくて、家の中が嵐のようだったりすると
自分を守るために「鎧を着た私」をつくることがあります。

いろんなものが飛んできても、鎧を着てなんとか耐え忍ぶ。
そしてどんどん、鎧が厚くなる。

気づくと「鎧の私を着た自分」「強そうに見える自分」で外の世界と接するようになり、女の子の私は内側に引っ込んでしまった。
そんなこともあるんです。

母のようにはなりたくない

「母のようにはなりたくない」
多かれ少なかれ、娘は母親に対してこんな思いを持つものです。

自覚していることもあれば、無自覚なこともあります。

けれど「母のようになりたくない」という思いがある分だけ、母親的な生き方を否定してしまうことがあるんです。

専業主婦だった母。いつも父親の愚痴ばかり言っていた。
でも働いていないから、父と別れるわけにもいかない。
専業主婦だと、あんなふうに不満ばかりがたまってしまうんだ。
私はあんなふうには、なりたくない。

たとえば、そう思ったことが、今の生き方につながっていることもあるんです。

結婚して家族をつくり、子どもを育てる。

その生き方が手に入っていないとしたら。
もしかしたら母親の生き方を否定しているところがあるからかもしれません。

私自身は、母を見ながら「女であることは、不自由だ」と感じていました。

だから結婚して男性に養ってもらう生き方をイメージしたことが、40歳過ぎるまで一度もなかった気がします。
「女って、不自由らしい。私は、ちゃんと一人で生きていける力をつけなきゃ」と思い続けてきたんですね。

男性性が大きい人は、豊かな女性性も持っている

けれど。
そんな女性たちが、ほんとうに男っぽいのかというと……。

自分のことを「女の子っぽくない。男っぽいんだ」と思い
男子キャラを全面に出しているだけなんです。

だって内側には、「女の子の私」もいるから。
自分を「女の子っぽくない」と思っている女の子なんだけけど
実はとてもピュアな女の子だったりするんです。

女子としての計算とか、できないし。
女子としてのしたたかさとかも、わからない。
そんなピュアな女の子の私。

自分を「男っぽい女子」と思ってきたタイプの女性は
いろんな事情があって、男っぽさの鎧の後ろに、女の子の私を隠してきた。
しっかりしなければいけない事情、自分を守らなきゃいけない事情があったりして、女の子の私を表に出さずに、人に見せずにやってきた。

そして「私は女の子っぽくない」と、自分のことを思ってしまったのだけど。

心の世界では、こんな言葉があるのです。

一人の人の中で
男性性の量と女性性の量は同じ。

つまり、全面に出してきた男性性が大きいのだとしたら
その背後に、同じくらい豊かな女性性もあるんです。

これほどまでに自分のことを「男っぽい」「女らしくない」と思い続けてきたとするならば…。

どれほど豊かな女性性をもっているのでしょうか。

自分には「ない」と感じている部分。
自分はここがだめと感じている部分。

そこにこそ、封印している魅力、自分らしさ、女性性、セクシャリティがあることが多いんです。

カウンセリングでは
自分では見えなくなっている
女性性、セクシャリティを見つけていきます。
「男っぽい女子の私」の下にいる、女の子の私、女性の私、女の私を見つけて、花開いていくんです。

ふだん、論理的でクールな人の内側に
感性豊か、直感力のある、感覚的で、繊細な女性らしい私が眠っていることは少なくないんです。

男っぽい私をしなくていい、となったら
もともとの繊細な感性豊かな女性性が出てくることも多いんです。

そして、これまで蓋をしてきた女性性やセクシャリティにOKを出せば出すほど
本来の自分らしい女性的な魅力が出てくるだけでなく
自分の生き方を支える女性的な資質も、どんどん出てきたりするんです。

「男っぽい」とか「女らしくない」と思っている人ほど
ほんとうは 女の子らしさ、女らしさ、女性性を内面に秘めています。

自分の「女の子」の部分を人前に出してこなかっただけ。
表現をしてこなかっただけ。

けれど、ほんとうはいーっぱい、持ってるんです。

自分ではまだ気づいていない
女らしさ、女性性がいーっぱい、あるんです。

こう聞くと
「いやいや、ぜんぜん女らしくなんてありません。ほんとに男子っぽいですから」 と言いたくなる気持ちが出てくるかもしれません。

でも、こう思ってみてほしいんです。
これまで、内面の女らしさ、女性性を表に出してこなかったから
それを人に見せるのが、どうやら恥ずかしいのかもしれないって。

「いやいや、男っぽいんです」と言いたくなるほど
繊細な感性の持ち主だったりするんです。

自己イメージは、あくまでも自分でつくった自己イメージです。
いろんな事情があったがゆえに、後天的につくってきた自分です。
自分でつくったものだから、いくらでも変容していけるんですね。

女性として生きるって、どんな感じなんだろう。
イメージしたこと、ありますか?
自分が女性として生きる人生。

男っぽい私を全面に出して、これからも生きていく。
そのイメージなら、なんとなく思い描けるけれど。

女性として生きていくって、なんだろう?
どんな生き方になるんだろう? ぜんぜん、わからないや。

そう感じるかもしれません。
それでも、心の内側にいる女の子の自分からの
「男っぽい今の生き方は、なんか違う気がする」という声がときどき聞こえているのなら。

女性として生きるって、どういう生き方なんだろう
と興味を持ってみてほしいんです。

そう思った瞬間、スタート地点に立ってます。
これまでとはちょっと違う生き方へのスタート地点。

一人でも、生きられるのかもしれません。
ずっとそうやって頑張ってきたから。

ほんとうは、一人じゃなくて、誰かと一緒に生きていきたい。
がんばり続ける生き方とは違う、自分らしい生き方をしてみたい。

その気持ちを大事にしてほしいんです。

「ほんとうは、一人で頑張り続けるのはしんどい」という自分の中の声に耳をかたむける。
そして、その気持ちを受け入れて、やさしく抱きしめる。
それって、とっても大事です。

これまでは、そんな声がするたびに、打ち消してきたかもしれません。
そんなこと思ったって、しょうがないじゃんって。

だけど、その生き方を変えてもいいのかもしれません。
一人で強く生きなくても、いいのだから。

これまでとは違う生き方、ご一緒に探してみませんか?

女っぽくないと感じている人ほど
「まだ表に出していない魅力がいっぱいある」 とも思ってみてほしいんです。

これまで蓋をしてきた女性性やセクシャリティを
そろそろ開いていくのにいいタイミングかもしれません。

この記事を見つけて、最後まで読んだということは
女としての自分を表現してみたいという気持ち、あるのかもしれません。

これまでと違う私。
これまでと違う生き方。
それらを一緒に見つけていきませんか。
あなたの内側の女の子の声を聞きながら。

いつでもお手伝いします。
どうぞお話聞かせてくださいね。

合わせて読みたい
女として生きてこれなかった私。
女として生きてこれなかった私。
合わせて読みたい
ふつうの女子に嫉妬しちゃうのは「女の子の私」を閉じ込めてきたから
ふつうの女子に嫉妬しちゃうのは「女の子の私」を閉じ込めてきたから
合わせて読みたい
自立女子の「自分より強い男がいない」問題を卒業するために
自立女子の「自分より強い男がいない」問題を卒業するために
この記事の執筆者
中村陽子/心理カウンセラー
中村陽子/心理カウンセラー
4500件以上の個人カウンセリングを行う。婚活がうまくいかない、片思い、異性とお付き合いしたことがない、出産タイムリミットへの焦りなど、女性の生き方のお悩み、人生やり直したい、何がやりたいのかわからないなど自己実現のお悩みを数多くお伺いしています。
私自身、30代後半に子どもがほしいと結婚し、39歳で離婚して、40代前半は諦め&人生迷子のどん底期を味わい、45歳から「50代、60代でも花開く人生」をつくりはじめて、今にいたります。 自分らしい生き方のお手伝いしています。
ツイッター@nakamurayoko70
記事URLをコピーしました