恋愛心理学

恋愛の「好き」がわからないのは、男子にいじめられたから

中村陽子/心理カウンセラー

「周りの友達はみんな彼氏がいるのに、私にはぜんぜん縁がない…」
「男性を好きになるって、どんな感覚なのかよくわからない」

男性とお付き合いしたことがないご相談をよくいただきます。
なかなかお付き合いが始まらないお悩みには、いろいろなケースがあるのですが。

今回は、子どもの頃の「男子からのいじめ」が原因で、恋愛を遠ざけているお話についてご紹介します。

男性に好意を持たれるのが嫌。
恋愛の「好き」がわからない

こんなご相談がありました。
「男性とお付き合いをしたことがありません。
男性をなかなか好きになれなくて」とA子さん(27歳)。

周りが恋愛をしているのを見て「私にはどうしてできないんだろう?」とずっと悩んでいたといいます。

社会人になってから、いいなと思う人がいたこともあるけれど
「彼氏がほしいから、好きと思っているだけなんじゃないか」
「みんなが恋愛してるから、自分もそうなりたいだけなんじゃないか」
とあれこれ考えて、よくわからなくなったといいます。

たまに、仲良くしゃべれる男性はいる。
友達としてなら、嫌じゃない。
だけど、距離が近づきそうになると、とたんに緊張してしまう。

どこか、防衛本能が働いているような、そんな感覚。

「恋愛としての好き」がわからない。
昔から、男性から嫌われてる気がする。
そう思っていたといいます。

小学生のとき、男子からのいじめ
人から好かれるわけないと思うように

話を聞いていく中で、A子さんは小学生時代のいじめの体験を語ってくれました。

小学校高学年のころ、何人かの男子から「キモい」「あっちいけ」と毎日のように言われていた時期があったそうなんです。
中学に上がってからはクラスは別になったものの、帰り道が同じだったため、男子たちに嫌な言葉を言われる日々が続きました。

こんなことがあったために
自分が嫌いになった、自分に自信が持てなくなった
自分が人から好かれるわけないなという思いが、つきまとうようになったといいます。

人にすごく気を遣ってしまう

過去のつらい経験をバネに、人付き合いをがんばったり、仕事をがんばったり、きれいに見られるように容姿を磨いてきたり。自分なりに克服してきたけれど。

それでも心に、過去の体験は残ってしまうものなんです。

自分の何が悪いんだろうと自分を責めてしまう気持ち
自分をよくないもののように感じる気持ち
自分は嫌われているではないか、拒絶されてしまうのではないかという感覚。

人にすごく気を遣ってしまう。
人からどう思われるかをいつも気にして、疲れてしまう。
どこか人を信用できないところがある。
こんな感覚を持つことも少なくありません。

子どもの頃に抱え込んだ「嫌われてるんじゃないか」という感覚があるがゆえに、人に気をつかうようになってしまうんですね。
そして、人とどこか距離を取ってしまう、親密になれない感じも残ってしまったりするんです。

これらの感覚があると、人との間に見えない壁ができてしまう。
自分を出そうとしても、どこか作った自分になってしまう。
そして、男性に近づけない。

あんな体験があったら、こんなふうに感じてしまうのはしかたないことなんです。
そのくらい、つらい気持ちを感じていた時期があったということ。

だけど、子どもの頃に抱え込んだこれらの感覚を手放していけるとしたら。
もうこれ以上、持ち続けなくてもいいように、これらの感覚を癒していけるとしたら。

そのためのキーワードは
感情を癒すことにありました。

頭では「子どもの頃のことだから」と思っていたとしても、心にはあの頃の感情がそのまま残っているからです。

長い間、怒りを閉じ込めるしかなかった

子ども頃にいじめられた体験があると、嫌われている感覚、悲しみ、怖さ、居場所のなさといった感情を抱えたりします。

そして、もうひとつカギになるのが「怒り」なんですね。

外から攻撃を受けたとき、反応として、こちらからも怒りの感情が出てきます。
受けた攻撃に、反応的に、怒りの感情が出てくるんですね。

だけど、いじめられている状態のときは、怒りを表に出すわけにはいきません。
そのため怒りを抱え込むことになるんですね。

抱え込んだ怒りのエネルギーは、自分の内側に向いてしまいます。

それが自分を責めるような考えの癖や
自己嫌悪にもつながることがあります。

また、怒りを抱え込んでいると
自分自身のエネルギーを全体的に抑え込むようになることもあるんです。

してみたいことを思いついても、すぐ面倒くさく感じてしまう。
どうせ自分にはムリと思ってしまう。
なんかよくわからない生きづらさがある。

怒りのエネルギーを抑え込んでいると、
本来の自分らしいエネルギーをいきいき発することができなくなってしまうのです。
感情は蓋をした分だけ、自分本来のエネルギーも抑え込んでしまうんです。

もし、どこか生きづらさを感じているとしたら。
本来の自分らしいエネルギーを閉じ込めて、出せなくなっているのが原因かもしれません。

男子への怒りがあると、男性を好きになれない

つらかった気持ち、悲しかった気持ち、あの頃飲み込んだ怒りに蓋をしていると
自分でもわからなくなっちゃうんです。

自分の気持ちが、わからなくなっちゃうんです。
やりたいことも、わからなくなっちゃうんです。
人との間に距離をとることにもなっちゃうんです。

そして、怒りがあると
男性を好きになれない
んです。

男子にいじめられた
お兄ちゃんにいじめられたなどがあると
男性への「怒り」を心の奥に持つようになります。

子どものころ、怒ってばかりのお父さんが嫌いだった。
あるとき、お父さんを嫌いになっちゃった。
そんなことも「男性が嫌い」につながることがあります。

すると
「男性を好きな気持ちがわからない」
「恋愛の好きがわからない」

と感じるようになることも。

子どもの頃に抱え込んだ、男子への怒り、男性への怒りがあると
男性を好きと思えないんです。
恋愛の好きがわからなくなってしまうんです。

もしかしたら、男性への怒りと感じていないかもしれません。
その場合は「男子が怖い」と感じているかもしれません。


いずれにしても
自分の感情にずっと蓋をしてきたということかもしれません。

閉じ込めていた感情を癒す

過去の傷ついた感情が、心の中にまだ残っているとしたら。
あのとき抱え込んだ怒りが、残っているとしたら。

一つの方法は、人に話して聞いてもらうといいんです。
そうすることで、感情は外に解放されていくんですね。

心理セラピーで、過去の感情を丁寧に感じていくことでも感情は解放されて、癒されていきます。

カウンセリングでは、閉じ込めていた怒りを外に出すことが多いんです。
自分ひとりで怒りを出すことって、人によっては難しかったりするんですね。

とはいえ、怒りを人にぶつけるわけではありません。
嫌な思いをさせられた相手にぶつけるわけでも、ありません。

カウンセリングなどの場で、怒りとして表現したり、感じたりしていく。
そうやって長い間、抱え込んでいた怒り、飲み込んできたものを外に出すことができると、さらに奥にある気持ちも癒していくできるんです。

悲しい気持ち、つらかった気持ちも、癒していくことができるんですね。

そして、あの頃の自分を受け入れてあげる。
そんなことをしていくんですね。

カウンセリングで涙を流すときって、心の奥に残ったままになっている気持ち、感情に触れて、その感情を自分自身がわかってあげているときなのかなと思うんです。

なかったことにしている気持ち
大したことない、ってことにしてきた気持ち
もう終わったことだからと済ませてきた気持ちに触れると
ツーっと、ひとすじ涙がこぼれたりします。

そして涙が心を浄化していくんですね。

怒りを解放したら
セクシャリティがあふれて魅力的に

カウンセリングをスタートしたとき、A子さんは控えめな雰囲気の方でした。

そんなA子さんが、心理セラピーで子どもの頃に抱え込んだ怒りを感じて、解放してもらったことで、表情や体全体から「生き生きしたエネルギー」を発するようになったんですね。

ぜんぜん、違う人に思えるくらい
生き生きとした魅力的なエネルギーが自然にあふれたんですね。

怒りとセクシャリティ(生命力のエネルギー)って、関係してるです。
怒りを封じ込めてると、セクシャリティも出せなくなることがあるんです。

抱え込んだ感情は、感じることで解放していくことができます。
感情を感じて解放できると、いきいきしたエネルギー、自分らしい魅力が出せるようになるんです。

人との間の壁も、つくらなくてもよくなったりもするんです。

カウンセリングが終わったあと、A子さんは言っていました。
「ずっと壁をつくってきたけれど。
 男性に好きになられても、いいかもしれない」

子どもの頃に抱えたままになっていた感情を癒したことで
男性との間にあった心の壁も、溶けていったようでした。

思春期に男子からいじめられた体験のある人は
実は、とても豊かなセクシャリティの持ち主であることも多いんです。

とても魅力的なエネルギーをたくさん豊かに持っている。
女性としての魅力も、生命力としてのいきいきとしたエネルギーも豊か。

もしかしたらずっと、これらの豊かなエネルギーを抑えなくてはいけない状態だったかもしれません。
豊かなエネルギー、自分らしいエネルギーを抑えてきた分だけ、どこか生きづらさを感じてきたかもしれません。

だけどもともとは、とても魅力的でいきいきとしたエネルギーの持ち主なんです。
そして本当は、恋をしたい気持ちも、人を好きになりたい気持ちも豊かに持っているんです。

閉じ込めたままになっている感情を癒していくことで、心が軽く晴れていきます。
自分のことも好きになります。
そして、本当はしたいこと、本当はほしいものに手を伸ばせるようにもなります。
自分らしいいきいきした感じも、気づくと自然に出せるように。

そんないきいきとした自分でいることを、そろそろ取り戻してもいいのかもしれません。

もしどこか心当たりがあるのなら。
お手伝いします。
お話聞かせてくださいね。

合わせて読みたい
好かれると気持ち悪い。否定してきた「女としての自分」を受け入れたら、彼ができました!
好かれると気持ち悪い。否定してきた「女としての自分」を受け入れたら、彼ができました!
合わせて読みたい
女らしさが出せなかった私に彼ができました!
女らしさが出せなかった私に彼ができました!
合わせて読みたい
ふつうの女子に嫉妬しちゃうのは「女の子の私」を閉じ込めてきたから
ふつうの女子に嫉妬しちゃうのは「女の子の私」を閉じ込めてきたから
合わせて読みたい
セクシャリティを解放すると、魅力的なオーラが出るってほんと?
セクシャリティを解放すると、魅力的なオーラが出るってほんと?
合わせて読みたい
恋愛したことがないのは、子どもの頃の性的トラウマがあったから
恋愛したことがないのは、子どもの頃の性的トラウマがあったから
この記事の執筆者
中村陽子/心理カウンセラー
中村陽子/心理カウンセラー
4500件以上の個人カウンセリングを行う。婚活がうまくいかない、片思い、異性とお付き合いしたことがない、出産タイムリミットへの焦りなど、女性の生き方のお悩み、人生やり直したい、何がやりたいのかわからないなど自己実現のお悩みを数多くお伺いしています。 30代後半に子どもがほしいと結婚し、39歳で離婚して、40代前半は諦め&人生迷子のどん底期を味わい、45歳から「50代、60代でも花開く人生」をつくりはじめて、今にいたります。 自分らしい生き方のお手伝いしています。 ツイッター@nakamurayoko70
記事URLをコピーしました