子どもにつらい思いをさせてしまいそう。子どもをほしいと思えない心理

中村陽子/心理カウンセラー

子どもほしいと思えないんです。
カウンセリングでよく伺うお話です。
ほしいと思えない理由には、いろいろなタイプがあるのですが。
そのうちのひとつが「子どもにつらい思いをさせてしまいそうだから」というものです。

自分が子どもの頃、つらかったから。
もしかしたら、自分の子どもにも同じ思いをさせてしまうかもしれないから。
それに、親からされたことを自分も子どもにしちゃうかもしれない。
そしたら子どもがかわいそう。

だから、子どもをほしいとあんまり思えない。
もしかしたら、こんなふうに思ったことがある方、少なくないかもしれません。

例えば
仕事で親が忙しくて、ぜんぜんかまってもらえなかった。自分が学校でいじめられてても、お母さんに話すことができなかった。子どものころ、すごく寂しかったし、つらかった。
もし自分の子どもを持ったら、子どもも同じ思いをするんじゃないか。そんなふうに感じてしまう。

お母さんがとても感情的に怒る人で。子どもの頃によく理不尽に怒られた。それがすごく嫌だった。
もし自分に子どもができたら、同じことしちゃうかもしれない。

自分と同じような体験を子どもがすることになったら、子どもがかわいそうだから。
そんな思いから、子どもがほしいと思えない。
こんなお話、実はとてもよく伺います。

子どもの頃のつらかった気持ちを誰にも打ち明けず、自分ひとりでずっと抱え続けてきた。
そんな人ほど、もしかしたらこんな思いをお持ちかもしれません。

我慢強くて、だけど自分では我慢強いなんて思ってなくて。
だって、しんどい思いを自分ひとりで抱えることが自分にとっては当たり前のことだったから。
そんなところも、あるかもしれません。

つらい思いをさせてしまうんじゃないか…と思うとき
「つらい思い」に焦点が向いてしまうものだけど。
「つらい思い」の先には、きっとやさしい想いがいっぱいあるんじゃないかと思うんです。

自分の子どもを想像してみただけで、「自分と同じような嫌な思いをさせたくない」と思えるくらい、子どもへの愛情をすでにたくさん持っている――。
そんなふうにも、思えるんですね。

「つらい思い」に焦点が向いているときには、なかなかこうは思えないかもしれないけれど。
ひとりで抱えてきた分だけ、「つらい思い」のところに留まってしまいがちだけど。
だけど、つらい思いを越えた先、向こう側にあなたのやさしい想いもあるんです。

なぜ、子どもにつらい思いをさせてしまうと思うのか

ここから、心理学の投影のお話です。
投影とは、自分の心の中にあるものを外の世界に映し出すことをいいます。
外の世界に「A」というものがただ存在しているわけですが、この「A」をどのように解釈しながら見るのか。この解釈の部分に、自分の心の内側が映し出されるんですね。

もし自分の子どもができたら……と思ったとき。
子どもって、まだ生まれていないし、人生を歩み始めてもいないし、どんな環境で育つかわからないし、男の子か女の子かもわからないし、(そもそも、まだ誰がダンナになるかも決まってないし……)という状態です。

生まれてくる子ども(まだ、つくってさえいませんが)は、まったくのゼロポイントにいますよね。すんごい楽しい人生になるかもしれないし、なかなかハードな人生になるかもしれないし。まったくわからないわけなんですが。

すべてが完全なる未知数の、いわば真っ白な子どもが
「自分と同じようなしんどい思いをするかもしれない」と感じるのは
子どもに、自分自身を映し出しているからなんですね。

そうなんです。
自分の子どもの頃のことを、子どもに映し出しているんですね。

子どものころにいっぱい我慢して、さみしい思いを抱え続けてきたとしたら
自分の子どもも、さみしい思いをするんじゃないかと感じます。

子どものころに我慢ばっかりで窮屈で、自分には楽しみが何もないと思っていたとしたら
自分の子どもも、楽しいことなんて何もないしんどさを味わうんじゃないかと思います。

子どものころに「自分なんていないほうがいいんじゃないか」と感じていたとしたら
自分の子どもも、同じような気持ちを抱えちゃうんじゃないかと思います。

もしいま、「子どもができたとしても、きっと子どもがかわいそう」と感じているとしたら。
それは、子どもの頃の自分(インナーチャイルド)が、いまも自分の中にいて
悲しさや寂しさやしんどさを抱え続けているといえるかもしれません。

いま誰かといても寂しさを感じているのは、子どもの頃に抱え込んだ寂しさを感じているからかもしれません。

いま自分なんていないほうがいいじゃないかと感じているのは、子どもの頃に家族の誰かを助けるためにそんなふうに思い込んだことがあるのかもしれません。

いま味気ない日常を送っているように感じるのは、子どもの頃に「楽しむこと」をしてはいけないように感じて、封印してしまったからかもしれません。

いま人の輪の中に入れないと感じているのは、自分は迷惑なのかもしれないと子どものときに感じて、人から距離を取るようになったのかもしれません。

こんなふうに、傷ついたままのインナーチャイルドが自分の中にあることは、いまのものの見方、感じ方、とらえ方にも大きく影響しているんですね。

つらい思いをさせちゃうのでは…の向こう側にあるもの

自分の子どもにつらい思いをさせてしまうのではないか……。
この気持ちは、自分の子ども時代の心の傷や痛み、しんどかった記憶などを、自分の子どもに映し出しているために抱く思いだとお話しました。

それと同時に、つらい思いをさせてしまうのではないかと懸念しているということは。
自分の子どもには、つらい思いをさせたくないと思っているということ。

つまりは
自分の子どもへの愛が、すでにある
ということでもあります。

ここ、見逃しがちかもしれません。

つらい思いをさせたくないと感じているとき
子どもに投影した「つらい思い」に焦点が当たってて、見えなくなっちゃってるんですが。

つらい思いの向こう側には、愛したい気持ちや育てたい気持ち、いのちをつなぎたい気持ちがあったりするんですね。

例えば。
お母さんが人の気持ちに共感することが苦手な人で。何かをわかってもらいたいと思ってお母さんに話しても、「そうなのね」と気持ちをわかってもらった体験がなかったとしますよね。

お母さんに自分の気持ちをちっともわかってもらえなくてつらかった。
子どもの頃にそんな気持ちをたくさん感じてきたとしますよね。
そんな人は、もし自分が親になったら……と考えたとき、こう思うんじゃないでしょうか。
子どもの気持ちをわかってあげたい、寄り添ってあげたいな。

子どもの頃に、おけいこ事や塾ばかりで。自分の好きなことをする時間がぜんぜんなかった。自由がなかったとしますよね。
そんな人が、もし自分が親になったら……と考えたとき、こう思うんじゃないでしょうか。
子どもにはのびのび育ってほしい。子どもらしい時間を過ごしてほしい。

こんなふうに「自分にはなかったもの(こうしてほしかったと思うもの)」を、生み出したり、与えられたりする人になれるんですね。

子どものころのつらい気持ちが大きいと、すぐにはピンと来ないかもしれないけれど。
つらい気持ちを癒したら、自分の中にある「こんなものを与えたい」が見えてくるかもしれません。

まずは自分のインナーチャイルドを癒す

そのためにも、まずは自分のインナーチャイルドを癒していくといいんです。

つらかったとか、しんどかったとか、どうしてあんなことしたんだとか……。
最初は文句がいっぱい出てくるものです。
ぜんぜんいいんです、文句が出てきても。
だって、そのくらいずっと自分の中に一人で抱え続けてきたんだと思うから。

そっか、それは嫌だったよね。
そんなふうに、自分の気持ちを聞いてあげる。

誰かに聞いてもらうのもいい。
文句がいっぱい出てくるなら、ノートに書き出すのもいいと思います。
(だけど、ネガティブな気持ちを全部自分一人でなんとかしようとはせずに。
誰かに聞いてもらってくださいね。
聞いてもらって、わかってもらうことって大事だから)

そんなことをしながら。
インナーチャイルドをやさしく抱きしめてあげるといいんです。
子どものころの気持ちを大人の自分が、受けとめてあげる。
そして、やさしい言葉をかけてあげたり、気持ちをわかってあげる言葉をかけてあげたりするといいんです。

そんなことをしていくことで、だんだんとつらかった感情が癒えていきます。

自分が子どもの頃にほしかったものを、誰かに与えていくことでも癒されていくんです。
子どものころに「自分の気持ちをわかってほしかった」としたら、友達や恋人と接するときに「気持ちをわかってあげたい」「寄り添ってあげたい」と思いながら接してみる。

そうすることで、自分の心も満たされていくんですね。

人は、愛したい生き物である。
そんな言葉があります。

だけど。
子どものころのつらい思いを抱えたままだと
愛したくても愛せない
ということが、起きやすいんですね。

つらそうな友達を見て
自分なんてこんなにつらい思いをしたんだから。
そのくらいのことで、つらいなんて言うなー。
と思ったり。

自由奔放にわがまま言ってる子どもを見て
私が子どものときに、ぜんぜんわがままなんて言えなかったのに。
こんなふうにわがまま放題できるなんて、むかつく。
と思ったり。

自分がかわいがってもらってないのに。
どうして誰かのことをかわいがったりしなきゃいけないの。
と思ったり。

人間ですから。
そういう気持ち、出てきます。
自分の中の子どもの頃の自分がしんどいままだと、そういう気持ち出てきたりするんです。
そういうものなんです。
人間だから。

その一方で
愛したい生き物なのに、愛することができていないと……
自分ってダメだなとも思ってしまうんですね。

愛することができない自分のことを、いいものだとは思えなくって。
自分はなんてダメなんだろうって思ってしまったりもします。

ただ愛することができていないだけなのに。
自分をダメだと感じてしまうくらい
愛したい生き物、のようなんです。

だから
子どものころの満たされなかった気持ちを癒しながら。
愛を誰かに、何かに注いでいけるようになれると、いいんですよね。

子どものころのつらい思い(=子どもをほしいと思えない気持ち)って
蓋になっていることが、少なくないんですね。

子どものころのつらい思い下には

自分の愛を注ぎたい
育てたい、育みたい
つなぎたい
生み出したい

そんな思いがあったりします。

蓋があると、愛したい気持ちがあっても
出てこれなかったりするんだけど。

そうすると

自分は何のために生きているんだろう。
この世界にいる意味、何なんだろう。

なんていう気持ちにも、なるかもしれません。

そのくらい
人は、愛したい生き物のようなんです。

愛やエネルギーを、この世界に向けて自分から与えていった分だけ
生きている意味を見出せる。
そんなところもあるのかもしれません。

愛を注ぐ対象は
子どもかもしれないし、子ども以外の何かかもしれません。
どっちがいいとかは、ぜんぜんなくて。
自分の愛を止めることなく注ぐことができれば、心はきっと満たされます。

子どもがほしいと思えない気持ち。
それは、癒されていないインナーチャイルドの存在を教えてくれていると同時に
ほんとうは愛を注ぎたい(なのに、愛を注げず、止めているのがしんどい)ということを、教えてくれているのかもしれません。

もし、子どもがほしいと思えない気持ちが自分にあって。
だけど、なんかこのままでいいんだろうかとも思うなら。
ほしいと思えない気持ちの下にあるものを、見つけていきませんか?
よかったら、お話聞かせてくださいね。

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この記事の執筆者
中村陽子/心理カウンセラー
中村陽子/心理カウンセラー
4500件以上の個人カウンセリングを行う。婚活がうまくいかない、片思い、異性とお付き合いしたことがない、出産タイムリミットへの焦りなど、女性の生き方のお悩み、人生やり直したい、何がやりたいのかわからないなど自己実現のお悩みを数多くお伺いしています。
私自身、30代後半に子どもがほしいと結婚し、39歳で離婚して、40代前半は諦め&人生迷子のどん底期を味わい、45歳から「50代、60代でも花開く人生」をつくりはじめて、今にいたります。 自分らしい生き方のお手伝いしています。
ツイッター@nakamurayoko70
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