よく落ち込む、やる気が起こらないのは…怒りの感情が苦手だから?

中村陽子/心理カウンセラー

一日が終わった後、部屋に戻ってとても落ち込んでしまう。
何もやる気がしなくて、早く布団の中に入りたいと思う。
こんなふうに感じているとき、「怒りの感情が苦手」なゆえに、こうなっていることもあるようです。

昼間、会社で嫌なことがあったとき「こうなったのも、自分が悪いからだ」「あの人のここがうまくいかなかったのも、ちゃんとあらかじめ説明しなかった自分が悪いからなんだ」と、自分をチクチク責めてしまう。
そして帰宅後は、もう何のやる気も起きなかったり、なんかものすごく落ち込んでしまったりする。

こんなふうになっているとき、「怒り」が関係していることがあるようなんですね。
特に、「怒りの感情はよくないもの」と思っていて、怒りを感じた瞬間にそれを飲み込んでしまうことが癖になっていると、無気力になったり、自分を責めてしまったりということにつながることがあるようなんです。

怒っちゃいけないと、思っていませんか?

「怒り」の感情について、どんなイメージを持っているでしょうか。
いい感情というよりは、よくない感情というイメージはありませんか?
怒っちゃいけないと、心のどこかで思っているところはありませんか?

そうすると、怒りが出てきたときに、その瞬間に飲み込んで封じ込めようとしてしまうことが起こります。

で、怒りを封じ込めるとどうなるかというと。
・自分を責めたり
・自己否定をしたり
・無気力になったり

ということが、起こりやすいんですね。

怒りという感情に「矢」がついていると、思ってみてください。
封じ込めるとどうなるかというと。「矢」が自分に向かうわけです。

怒りが外側に出ないように→自分に向ける
自分に向けて、チクチク攻撃をすることになります。

自分を責めている状態です。

「あんなことになったのも、自分がうまくできなかったからだ」と何度も何度も自分を責めてしまう。
「自分は、こんなとこもこんなとこもダメなんだ」と繰り返し自己否定をしてしまう。
そんな形で、怒りのエネルギーを自分に向けて、自分を責めてしまうんです。

たとえば、昼間会社で嫌なことがあったとします。
そして、「ムカつく」という怒りの感情が出てきたとしますよね。
「なんでこんなふうに言われなきゃいけないの」とか「なんでこんなこともわからないのよ」って。

だけど、ムカつくこと=怒り=よくないことと思って、その感情を飲み込んで封じ込めます。
封じ込められた怒りの感情を抱えたまま、家に帰ります。
封じ込められた怒りの感情は瞬間冷凍パックのように、そのまま保存されていますよね(そのまま残っていますよね)。
で、外側に漏れ出ないようにって、押し込めますよね。
この押し込めた状態が、無気力です。

飲み込んだ怒りの感情が、外に出ないように、がんばって押さえつける

怒りというパワフルなエネルギーを押さえつけているために、無気力の状態になるんです。
怒りの感情だけを押さえつけることって、できなくて。
その他の感情も一緒に、押さえつけちゃうことになるんですね。

怒りを内側(自分の側)に向けているために、「なんかすごく落ち込んじゃって」という感覚になることも
一人反省会をして「あんなことしなきゃよかった。なんであんなことしちゃったんだろう」と、チクチク自分に怒りの矢を向けていることもあるかもしれません。

抑えつけてるの、大変なはずなんです。
かなりのパワーを、我慢して飲み込んできた感情を抑えつけるのに使っているとしたら。
それって、ほんとに大変だと思うんです。
それだけでも、これまでほんとうによく頑張ってきましたよね。
だけどもう、抑えつけるやり方。しなくてもいいのかもしれません。

一日が終わると、日によって、なんかすごく落ち込んだり、無気力になったりしてしまう。

もし、そんなことがあるなら。
怒りの感情について、どう扱っているだろう?ということに意識を向けてみてもいいかもしれません。
昼間にムカついたことがあった日に限って、帰宅後に落ち込んでいる気がするなど、なんらかのパターンがないかどうかも、振り返ってみるのもいいかもしれません。

怒りを抑え込んだ結果、軽い怒りなら1日~3日くらいの無気力になることもあれば、1カ月、3カ月と長引いたり、ひいては数年ということもあります。
大きな怒りを抑え込んだ結果、「楽しいこと、面白いことがある時期から何もなくなった。もう何年もこんな状態が続いている。自分が何が好きかもわからなくなった」ということもあるんですね。

怒っても、いい

怒りを封じ込めようとすると、無気力になったり、自分にチクチクだめ出しをしたりということが起こります。
だから、怒りを抑圧しないほうがいいんです。

そもそも怒りの感情は、自然にわいてくるものです。
人として、自然に抱く感情のひとつです。
うれしい、楽しいって感じるのと同じく、腹立ったと感じることもある。
それだけ、なんです。

感情に、「この感情は良い感情」「この感情は悪い感情」というものはなく、どんな感情もあっていい。
いい、悪いはありません。

怒っちゃだめと、怒りを飲み込んじゃうのが癖になっているなら。
まずは、「怒りはあっていい」「怒っていい」と、怒りの感情に許可を出してみるといいかもしれません。

腹立った。怒った。プリプリした。ガオーって吠えたくなった。
オールOK.
怒りの感情は、あっていいんです。

怒りを人にぶつけたり、ふて腐れた態度を取ったり、あんたのせいでこうなったのよと見せつけたりしないほうが、いいかもしれません。
怒りを人に直接ぶつけると関係性が壊れることもあるし、怒りをぶつけてしまったことで「なんであんなことしちゃったんだろう」と自己攻撃を強めてしまうこともあるからです。

怒りは人にぶつけないほうがいい。
だけど、腹立ったり、怒ったり、がおーって吠えたくなったりと、怒りの感情はあっていい。

怒りは人にぶつけないほうがいいけど
怒りの感情はあっていい。

2つの違い、伝わりますかね?

飲み込むことが癖になっているなら
「怒ってもいいんだよ」と自分に何度も言ってあげるといいかもしれません。

自分ではなかなか難しいなら、カウンセリングの場で怒りについて話すなどしていくといいかもしれません。

怒りを飲み込むタイプの人は、最初のうちは「いやだった」とか「いなくなってほしい」とか、かなり淡々とした言い方になることが多いんです。
聞いていて、ぜんぜん怒りとして伝わってこないような言い方になったりするんです。
そのくらい、ずっと感情を飲み込んできたのだと思います。

怒っちゃいけないと思うようになったわけ

怒りの感情を抑圧するようになったのはなぜなのか。
その理由を探ってみると、子どもの頃に身近に怒る人がいたということが少なくないようです。

お母さんがとてもヒステリックで。突然、怒られることがよくあった。すごく理不尽だなと思っていた。
お父さんがお酒を飲むと、暴言を吐く人で。よくお母さんに向かって怒っていた。
など。

身近に「怒る人」がいて、「こんなふうに怒らなくてもいいのに。理不尽に怒られてすごく嫌だった。自分は絶対、あんなふうにはならない」などの思いを持っていることがあるんですね。
「あんなふうに怒るのはおかしい」「あんなふうに怒るのって最悪だ」「怒るのは人に迷惑をかけること」などの思いがあるために、「怒るのはよくないこと」と思い、怒りの感情を飲み込んで封じ込めるようになった…。
心当たりのある方もいるかもしれません。

怒りを人にぶつけたくない。
そんなやさしい想いから来ているんですよね。

だけど、怒りの感情は自然に出てくるものなんです。
うれしい楽しい、悲しいなどと同じく、感情なんです。

感情って、溜め込むと詰まっちゃうんです。
というのも、抑え込んだ感情のエネルギーがそのまま残っているからなんですね。
体のどこかに、未完了なまま、怒りの感情のエネルギーが残っているようなそんなイメージでしょうか。

残ったままだから、抑え込み続けなくてはいけなくなる。
押さえ続けると、怒りだけでなく、うれしい、楽しい、面白いなどほかの感情や、エネルギーも同時に抑え込むことになる。
その結果「なんかやる気が起きない」「朝、起きる気力がわかない」「何もする気がしない」などになっているとしたら……。
もったいないですよね。

まずは、ただ「怒りの感情はあっていい」と自分にいってあげること。

それに、あなたが昔、「あのやり方はないよね」と思った怒る人は、怒りの扱い方がわからなかっただけかもしれないんですよね。
怒りは、ぶつけなければ「昔怒っていたあの人たち」のようにはなりません。
それに、これだけ怒りを飲み込んできた人が「怒ってもいいですよ」となったからといって、ガオーッと吠えるようなことには、まずなりません。
怒っていいと自分に許可を出しても、誰かを傷つけたりするようなことにはならない。
ぶつけなければ、大丈夫なんです。

感情は感じると、なくなっていく

怒りは、感じたり発散したりすることで解消することができます。

感情を感じるには、その感情の中に入ってそのまま感じてしまうという方法もあります。
感情って、感じることでなくなっていくんです。
これは、怒りだけでなく、悲しみやつらさなどどんな感情も同じなんですね。

怒りの感情の中に飛び込むとしますよね。ゴゴゴゴーッと燃える火の中に飛び込むような感じがするんですよね。あくまで個人的な体感ですが。怒りの感情をど真ん中で感じていったとき、自分が鬼になったような感覚になりました。
感情って、真ん中でとらえて感じてしまえば、どんな感情であっても、ものの3分もかからないうちに感じ切ってしまえるものなんです(できるようになるには、慣れも必要なんですが)。

感情を感じることでなくしていってもいいし
心の中の腹立ちを、そのままノートにぶわ~っと書き出すなど、発散するというやり方で、怒りを外に出していくのもいい。
怒りの感情が苦手なら、なかなか怒りの感情を外に出すのが最初は難しいかもしれません。
まずは誰かに聞いてもらって、一緒になって「それは、嫌だよね」と共感してもらうのもいいですね。

怒りの下に、ほんとの気持ちがある

怒りを感じていったり、ノートにわーーーっと感情のままに書き出していったりしますよね。
すると、ある地点から別の感情に変わっていきます。

悲しみ、さびしさ、痛み、わかってほしかったという気持ちなど……。
怒りの感情をめくっていくと、その下にほんとうの気持ちが見えてくるのです。

職場で嫌なことがあって、Aさんへの腹立ちをノートに書き出していたら。
途中から、Aさんに怒ってるわけじゃなくて、元彼への気持ちに変わっていった。
Aさんから嫌なことを言われたと思ってたけど、元彼に責められているように感じている自分がいたんだ。
たとえばこんなふうに、変わっていくんです。

カウンセリングでも、話をしたり、イメージワークをやったりしながら、受け止めてもらったり、感情を感じたりすることで、最初思っていたものからだんだん変わっていって、「こんなふうに思っていたなんて。自分ではぜんぜん気づかなかった」とか「最初の感じと全然変わって。すごくラクになった」ということをしています。

感情を受け止めてもらったり、感じたりを通じて、感情を癒すことをしているんですね。

感情って、
何層にも重なり合っているんです。
私はよく、たまねぎを思い出します。
感情の層を一つ感じるごとに、たまねぎが一枚むけていく…。
感情を感じるごとに、たまねぎがどんどんむけていく。
そんなイメージ。

怒りを感じたり、発散したりしていったら、次は悲しみが出てきた……。

たとえば、元彼とのイメージワークをしているとき、最初は文句が出てくることが多いんです(怒り)。
文句の気持ちを吐き出したら、悲しみが出てきたりします。そして、「あのときはあんなこと言っちゃって、ごめんなさい」が出てきたりして、最後に「すごく好きだった」とか「3年間、あなたと一緒にいられて楽しかった。ありがとう」とか……。
こんなふうに、感情を感じていったり、話を聞いてもらって受け止めてもらったりすることで、感情の層がどんどんめくれていって、感情が変わっていくんですね。
そして愛おしさ、あたたかさ、こんなにも好きだったんだという気持ち、喜ばせたかったんだという想いなどがあったんだと気づいたりします。

元カレについてのイメージワークをしていくと、痛みと共に封印してしまっていた「誰かを好きになる気持ち」を取り戻すこともとても多いんですね。
こんなふうに、怒りの向こう側にある感情を癒していくことで、自分にとってとても大切な想いを取り戻したりもするんです。

感情は、感じることでなくなります。
(話を聞いてもらって、受け止めてもらうことも同じです)
話を聞いてもらって心のもやもやを吐き出して受け止めてもらったり、感情を感じていったりすることで、体内に残っていた感情エネルギーが放出されるので、もう抑えつけなくてよくなるんですね。
抑えつけることに力を使わなくてもすむようになるし、封印していた分のエネルギーも巡るようになる。
抑えつけていた分の生命力が戻ってくる。そんなところがあるんです。

抑えていた感情を癒すと、イキイキさが戻ってくる

こんなふうに、感情は何層にも折り重なっているんです。

怒りは、感情の蓋といわれます。
下にある感情が出て来ないように、蓋しているもの。
そんなふうにとらえてみると、いいかもしれません。

だから、怒りってぜんぜん悪いものではないんです。
そして、怒りの下にあるほんとの気持ちが感じられるようになっていくと。
自分の気持ちに素直になっていけるんですよね。

自分の気持ちに素直になるとは
自分は本当はこんなふうに思っていたんだ。
こうしてほしいと思ってたんだ。
これをわかってほしいと思っていたんだ。
これを悲しく思ってたんだ。
ほんとはごめんなさいって思ってたんだ。
そんなことが、自分でわかっていくということ。

怒りを禁止して、封じ込めてしまったら
エネルギーも出て来なくなるし、自分がほんとは何を思ってるのかわからなくなってしまうけど。
怒りの感情をめくって行って、その先にある気持ちとつながることができたら。
ホントの気持ちも見えてくる分、無理をしなくてすむようにもなります。
なにより、とてもイキイキするんですよね。

カウンセリングでも、面談でイメージワークが終わったあとの表情って、イキイキさがぜんぜん違ったりするんです。滞っていたエネルギーが巡って、生命力があふれ出す。そんな感じ。

ということで。
もし、怒りの感情って苦手だなとか、つい抑え込んじゃうんだよなとか。
なんかこのところ、ぜんぜんやる気になれないんだよなとか。
怒りにまつわるあれこれに、ちょっとでも心当たりがあるなら…。
一度お話を聞かせてくださいね。

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この記事の執筆者
中村陽子/心理カウンセラー
中村陽子/心理カウンセラー
4500件以上の個人カウンセリングを行う。婚活がうまくいかない、片思い、異性とお付き合いしたことがない、出産タイムリミットへの焦りなど、女性の生き方のお悩み、人生やり直したい、何がやりたいのかわからないなど自己実現のお悩みを数多くお伺いしています。
私自身、30代後半に子どもがほしいと結婚し、39歳で離婚して、40代前半は諦め&人生迷子のどん底期を味わい、45歳から「50代、60代でも花開く人生」をつくりはじめて、今にいたります。 自分らしい生き方のお手伝いしています。
ツイッター@nakamurayoko70
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