人生やり直したい・停滞感

無気力なのは「怒りを抑圧」したのが原因だった

中村陽子/心理カウンセラー

楽しい、これがやりたい、これが好き……。
そんな感情を長い間、ずっと、感じないまま生きてきた。
そんなももさん(仮名)の物語です。

長い間、無気力さを抱え続けた理由

ももさんは、
長い間ずっと、無気力さを抱え続けていました。
高校生のころからずっと、無気力で何もやる気が起こらない状態だったのです。

それは、ももさんが高校生のころ、家族の中で起こった大きな出来事がきっかけでした。ももさんにとって、とてもショックな出来事でした。

「そのとき、自分の人生観が180度変わってしまった」といいます。
それ以降、「楽しい」「これが好き」「これやりたい」といった感覚がなくなってしまったのだそうです。

何を見ても、心が動かなくなりました。
きれいな景色を見ても、絵を見ても、何も感じない。
ただただ、無気力――。
そんな状態になってしまったのです。

ももさんは、あまりの衝撃的な出来事に、すべての感情を飲み込んでしまったようでした。

「こんなことが起ったのは、私が悪かったんじゃないか――」
「こんな私が楽しいと思うこと自体、いけないことなんだ」

その後、大学に進学したものの。
ちょっとでも口を開いたら、涙があふれてきそうなほど、何かがいっぱいいっぱい。
大学の授業に身を入れることなど、とてもできませんでした。

「親にお金を出してもらって大学に行ったのに。何にもできなかった」
ずっと、そんなふうに自分を責めてもいました。

就職も「やりたいことなんて、まるでわからない」状態のまま、内定を取りやすかった仕事に就きました。
でも、体調を崩してやめました。

そして――。
無職の期間も半年になり、そろそろ仕事に就かなくちゃと思うようになったものの。
「工場で人と接することなく、黙々と単純作業をするのが、いいのかな?」と思っていたといいます。
諦めてたんですよね、きっと。いろんなことを。

でも、本当は――。
「このままの無気力の状態でいるのは、何かが違う」と感じていた。
だから、カウンセリングの電話をかけた。

カウンセリングを受けようと決めたとき、
ももさんの中で「もう一回、ちゃんと自分の人生取り戻したい」と意を決したのだと思います。
2回目の電話をかけるまで、自分の心を決めるのに、きっと悩んだんじゃないかと思います。
それでも、なんとかしたいという思いが力を与えたのです。

飲み込んでしまった怒りの感情

昔、ショックな出来事があった。
昔、ものすごく悲しくてつらい出来事があった。

そのとき
悲しさ、つらさ、怒り、絶望……いろんな感情を抱いたものの、それを誰にも言えなくて、誰にも言えないまま、ずっと長い間抱え続けている……。

そういうことって、少なくないんです。
それを「感情を飲み込んでしまう」っていったりします。

とてもショックなことがあったとき、感情を飲み込んでしまうことってとても多いんです。
それは、もし自分が怒ったら誰かを傷つけてしまう、誰かに迷惑をかけてしまうと思ったからかもしれません。

もしくは、自分の心を守るために、そのときの感情に蓋をすることが必要だったからかもしれません。

嫉妬や人をうらやむ気持ちがあるのは

いずれにしてもその飲み込んでしまった感情って、ずっと残り続けるんですね。
その残り続けている感情が、
誰かに強烈に嫉妬してしまう気持ちだったり、
幸せそうに見える人たちと自分とは違うんだと線を引いてしまう気持ちだったり、
どうして自分だけがうまくいかないんだろうという悲しみだったり
なにをやってもだめなんだという絶望だったり
を引き起こしていることもあります。

それでもね。
変われるんです。
自分の中にある抑え込んできた感情を誰かにわかってもらうことで。
ずっとひとりで抱え続けてきたその感情と、お別れすることができるから。

そしてもうひとつ。
つらかったとか、しんどかったとか。
そういう気持ちをずっと自分ひとりで抱え続けてきていたとするのなら。
自分がこれを言ったら、誰かを悲しませることになるって思って、ぐっとひとりで我慢して堪え続けてきたのかもしれません。

自分の気持ちをずっと言えなかった理由

ももさんは、とてもとてもやさしい、家族思いの女の子でした。

だからずっと言えなかったんです。
家族みんなも大変そうだったから。
そして自分の気持ちを言わずに、飲み込みました。

自分が辛いとか、悲しいとか、しんどいとか言ったら、親の負担はさらに大きくなる。
自分のことは自分でなんとかしなきゃ。
そう思って、ずっとしんどい気持ちを自分の中に飲み込み続けてきたのです。

とてもとても大変だったはず。
自分の感情が溢れそうになるのを、必死で抑え続けてきた。
それはそれは、本当に大変だったと思うのです。

怒りを抑え込むと、楽しい、うれしいも感じなくなる

一番抑え込んだのは、怒りの感情でした。
ショックな出来事が起こったとき、なんでこんなことになるんだ!という怒りが出てきたものの、「怒っちゃダメ」と思った瞬間、全部飲み込んでしまったのです。

だけど。
怒りを飲み込んで、抑え込んでしまうと……。
ほかの感情もぜんぶ抑え込んでしまうことになるんです。

怒りを抑え込んでしまうことで
好き、楽しい、うれしい、面白い、きれいといったいきいきとした感情も、一緒に抑え込むことになってしまったからです。

怒りだけを抑え込む、ってことはできないんですね。
怒りを抑え込むと、イキイキさもぜんぶ一緒に抑え込まれてしまうのです。

これ好き、これ嫌い、面白い、楽しい、きれい、気持ちいい~。
これらの気持ちを感じられなくなって、当たり前の状態だったのです。

怒りやうらみ、つらみもあっていい。
外に出せば出すほど、ラクになる

子どもって、親や家族を助けるために、無意識的にいろんなことをするんですね。
親の手をわずらわせないようにする――というやり方で、親を助けることもあるんです。

飲み込んでしまった感情って、誰かに話したほうがいいんです。
最初に出てくるのは怒りやうらみ、つらみとか、人をうらやむ気持ち、誰かを責める気持ちとかだったりするかもしれません。

でも、ぜんぜんいいんです。
そういう感情、あって当たり前だから。

ネガティブな感情を飲み込んでため込んだ分だけ、恨みつらみや、人をうらやむ気持ちって、増幅しますから。
発酵熟成されちゃう、ような感じ。

だから「人をこんなふうに羨む気持ちがある自分」のことを、ぜーんぜん責める必要ありません。
そういう気持ち。あって当たり前なんだから。

罪悪感を抱くのは、愛があるから

それらの感情を人に話したりしながら、自分の外側に流していくと。
そのうち、別の感情が出てきます。

「あんなことが起こったのは、自分が悪かったからなんじゃないか」とか
「自分がいたら、迷惑なんじゃないか」といった気持ち。
罪悪感です。

だけど。
あまりにやさしいから、そう思っちゃっただけなんです。
あまりに家族思いだから、そう思っちゃっただけなんです。
ほんとうはこうしたかったのにという想いがあるから、それに対して無力だった自分を責めちゃっただけなんです。

そんな自分の中にあった愛に気づけると。
自分を責め続けてきた気持ちが溶けてなくなるんですね。

やさしいからこそ、「自分が悪かったんじゃないか」と思ってしまった。
そして「こんな自分なんて、楽しいとか、幸せとかを感じるような生き方しちゃいけない」とずっと思ってきた。

そんな愛からの想いが自分の中にあり続けていたことに気づけると。
癒しが起こります。
だってほんとは、自分のこと責める必要なんてまるでなかったのだから。

「私、変わりたい」の声に耳をかたむける

毎日が味気なかったり、無気力だったりしていても
もし「ほんとは、このままでいたいわけじゃない」という思いがどこかにあるのなら。

ほんとうはもっと違う生き方がしたいということ。
ほんとうはもっといきいきとした自分になりたいということ。

だとしたら。
過去に抱え込んでしまった思いを終わらせていませんか。

いま、これまでの生き方を変えていくにはとてもいい時期にきています。
これからの時代に向けて、ほんとうに生きたい生き方をしていくためにも、昔抱え込んでしまった思いを癒していきませんか。

ほんとうはこんなふうに生きてみたい、という心の内側からのささやき声に。
一緒に耳をかたむけていきませんか?
(ご本人にご了承いただいて過去に掲載していたものを加筆修正しました)

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この記事の執筆者
中村陽子/心理カウンセラー
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