婚活、結婚したい

親を置いて結婚するわけにはいかない~癒着の心理

中村陽子/心理カウンセラー

結婚したいと思っているのに、婚活がなかなかうまくいかない。
このままでいいのかなとよく思うけど、自分は何がしたいのかよくわからない。
こんな気持ちの背景に、癒着の心理があることがあります。
こんな親と癒着をしていた人が、自分の人生を生きるために親から離れようとしたとき。
怒りや親を責めたくなる気持ちが出てきます。
だけど、その気持ち。親離れをするときに通過する気持ちなんです。

癒着とは

親を置いて結婚するわけにはいかないという気持ちの背景に、癒着の心理があることがあります。

癒着とは、何かと何かがくっついてしまっている状態のことをいいます。
心理的な癒着は、相手と自分との境界線がわからなくなっていて、つねに相手のことを考えているような関係性のことをいいます。

癒着のたとえでよくいわれるのが「まるでふたりが接着剤でくっついてしまっているような状態」というもの。

心理的に癒着が起きているとき、境界線がわからなくなっている状態なので
自分の感情なのか、相手の感情なのかわからない。
自分の問題なのか、相手の問題なのかわからない。
自分の人生なのか、相手の人生なのかわからない。
という状態になるんですね。

そのため相手が感じている感情を自分のものだと感じていたり、相手の問題を自分の問題として背負ってしまっていたりということが起こります。

例えば、こんなことはありませんか?
友達から電話で相談を受けると、本当は早く寝たいのに深夜まで付き合ってしまう。電話を切ろうとすると悪い気がして、自分からは切りたいと言い出せない。

恋愛するとなぜかダメンズと付き合って、自分がなんとかしなきゃと背負ってしまう。

仕事で問題が起こった時、自分のせいだ、自分がなんとかしなきゃとなんでも背負ってしまうことが多い。

これらも背景に癒着の問題があることが少なくありません。

癒着が生まれる背景

癒着が生まれる代表的なものが、親子関係です。
母親と子どもが癒着する母子癒着もあれば、父親と癒着することもあります。

親との癒着でつちかわれた心理的距離が、ほかの人との心理的距離の基準になることもよくあります。
親子関係で癒着をしていると、大人になってからの人間関係でも癒着しやすくなるんですね。

この癒着が生まれる背景を子ども時代に遡ると
こんなことが見えてくることが多いんです。
夫婦関係で、夫と妻の間に距離ができますよね。夫が残業ばかりで家にいなかったとかなんらかの理由で距離があいたときに、寂しさ、空虚感などが出てくるのですが、それを埋めるために親は子どもと癒着していくことがあるんです。

自分のことがわからない

自分の好きなことがわからないとか、自分の人生を生きていない感じがするとか、自分の気持ち、自分が何をしたいのか、どう生きたいのか、自分はどんな価値観を持っているのかがよくわからない。
癒着が強いと、こんな感覚を持つことが少なくありません。

自分のとりたい行動が取れなかったり、自分の言いたいことが言えないといったことも起こりやすくなります

癒着は、まるでふたりが接着剤でくっついてしまったような状態ですから。
こんなふうになるんですね。

子どもは、癒着をされることで母親を助ける役割を無意識的に引き受けるところがあるようなんです。

親からの過干渉、母親の愚痴などを子どもは負担に感じながらも引き受けているんですね。
そして、お父さんとお母さんとの間を取り持つような役割も引き受けたりします。

親離れは、いけないことなの⁉

それでも、子どもには子どもの人生がありますよね。
好きな人をつくって結婚する、実家を離れて東京の大学に進学する、やりたい仕事に就くために実家を離れるなどをしたいという気持ちが出てきたときに
自分が悪いことをしているような気持ちになってしまうんです。

親を裏切るような気持ちだったり、悲しませるような気持ちだったりがしてしまうんですね。
また、自分が家から離れてしまったら、お母さん淋しくさせてじゃないかとか、ただでさえ仲が悪いお父さんとお母さんが、自分が家を出て行ったあとに、両親はふたりだけでやっていけるんだろうかと心配な気持ちになるんですね。

つまり、自分が自分の人生をつくっていくために親から離れようとするときに
罪悪感を抱えてしまうのです。

この罪悪感はやさしさの裏返しなんです。

親を悲しませないようにしなきゃ、親の期待にこたえなきゃという思いが強い人ほど、罪悪感を抱えます。

親から離れよう、親の価値観から離れようとしたときに罪悪感を感じるとしたら
そのくらい、親を想うやさしい気持ち、親を想う気持ちがあるということなんです。

やさしい気持ちから罪悪感が生じているとしたら。
この罪悪感、持たなくていいものだと思いませんか?

だって、悪いことしてないんです。
(悪いことしてるって思っちゃうのは、わかります)

だけど、自分の人生を生きるために親から離れようとしているだけなんです。
親の価値観から卒業しようとしているだけなんです。
それってほんとに悪いこと、でしょうか。

両親の仲さえ、悪くなければ…

親をおいてひとり立ちするわけにはいかない心理をお持ちから
「両親の仲が悪かったことをとても怒っている」とお話いただくことが多いんです。

そこにあるのは「両親の仲が悪くなければ、こんなふうに私が苦しまなくてもすむのに」と思いなんですね。
それだけ、親を心配しているのです。
大人になった、いまも。

お父さんがああだから、お母さんがいつも不幸せそうだった。もっとお父さんがお母さんに向き合ってくれれば、私がこんなふうに苦しまなくてもすんだのに。

お父さんが人の気持ちがわからない人だから、お母さんが実家に帰ったままなんだ。だけどお父さんをひとりで放っておくわけにもいかないじゃないか。いま私が家を出られないのはお父さんのせいだ。

それもこれも、
自分が親をなんとかしなくては…という思いが背景にあるんです。

人生に愚痴ばかり言っているお母さん。楽しみがない、お父さんとさえ結婚しなければもっと違った人生があったかもしれないのにというお母さん。
このお母さんから離れて、ひとりにするわけにはいかない。

仲のよくないお父さんとお母さん。自分が家を出て行っても大丈夫なんだろうか。子どもがいるから別れずにきたけれど、子どもである自分がいなくなったらこの二人はどうなってしまうんだろうか……。

親ではなく、きょうだいを背負っていることもあります。

親のことが心配だから。
自分が離れたら親をひとりにしてしまうから。
だから、自分の人生を生きたくても、親から離れずにいなきゃと思っている。

だけど自分がほんとにしたい生き方を我慢して犠牲する分だけ、親にうらみつらみが出てきてしまうんです。

親から離れるときに、罪悪感いっぱい抱えた場合も
罪悪感で苦しい分だけ、親にうらみつらみが出てきます。

癒着によって、親を助けることをし続けて、自分が望む生き方をしないでいると
自分は親のために犠牲になっていると感じて、うらみつらみや怒りが出てきてしまうんですね。

親の癒着を引き受ける形で、親のさびしさや空虚感を埋めてあげていた。
そのやり方で親を助けようとしてきた分、親との癒着をはがそうとしたときに
自分がひどいことをしているような気持ちが出てきてしまうんです。

だけど、心やさしいから出てきている気持ちなんですよね。

ここ何度も、自分に言ってあげてください。
やさしいから、ひどいことしてるような気持ちが出てきちゃうだけなんだって。

癒着をなくしていくことは、悪いことではまったくありません。
自分の人生を生きるために、親から離れること。それは悪いことではないんだということを、覚えておいていただきたいんです。

自分の人生を生きることが、悪いことなわけがない

反抗期ってありますよね。
あれは、子どもが親から離れるための時期なんです。
親のことをいったん嫌いになって、離れる。
それは、自立していくために必要なプロセスなんです。

だから、親から離れることは決して悪いことではない。
離れることは、当たり前のことなんだと思っていただきたいんです。

それに、お父さんとお母さんの夫婦関係の問題は、お父さんとお母さんの問題なんですよね。夫婦の間の問題なんです。

子どもであるあなたが、どうにかできることではない。
背負うことでもない。
そう思って、いいんです。

想像してみてください。
あなたに、子どもがいるとしますよね。
そして、あなたとダンナさんとがとても仲の悪い状態だったとします。
子どもが言うんです。「お母さんとお父さんの仲が悪いのを、私がなんとかしなきゃって思ってるけど。でも、何もできない。ごめんなさい」って。

そのとき、子どもに何と言うでしょうか。

あなたのせいでは、ぜんぜんないのよ。
これはお父さんとお母さんの問題だから。
心配かけて、ごめんね。

こんな言葉ではないでしょうか……。

癒着を解消するときの痛み

癒着を解消していくとき、痛みが出てくるものです。
癒着をしているときお母さんのほうから「あなたも大人になったんだから自由に生きなさい」って、なかなかならないんです。

親から自然に離れていくことはない。
となると、子どものほうから癒着を手放していかないと、癒着の解消って難しいんですね。

そして実際に、親元を離れて一人暮らしを始めようとすると、一人暮らしなんてしなくてもいいじゃないかとか、お母さんを置いていくつもり?とか、なんて冷たい子なのかしら。こんな子に育てたつもりはなかったのになどと、言われることがあります。

これは癒着を解消するときに出てくる痛みなんだなと思ってみてください。
癒着を切られる側のほうから、
離れないで~という痛みが出てくるんです。

切るほうは、悪いことしてるんじゃないか、自分はひどい人間なんじゃないかという気持ちが出てきます。
だけど、この痛みを超えていくことが、癒着を切っていくうえで必要なプロセスなんです。

このとき、親を嫌いになったり、親に怒りが出てきたりもします。
これらも、癒着を切って親離れ子離れをしていくときに必要なプロセスで通過地点なんです。
親を嫌いになる。親から離れるために、嫌いになる。一時的に、それが必要なんです。
だから、悪いことしてるとか、ひどい人間だって思わないでくださいね。

そしてこのとき、怒りの下の気持ちまで見ていけるといいんです。
親への怒りの下に、どんな自分がいるでしょうか。
その自分がどんな気持ちをずっと抱えてきたのかを、わかってあげる、受け止めてあげるといいんです。

ずっと我慢してきた気持ちを癒すタイミングと思うといいかもしれません。
この気持ちを癒すことも、親離れをしていくためには大切なんですね。

インナーチャイルドセラピーなどのイメージワークをしてみると、子どものころに抱え込んだ感情がこんなにもたくさんあったことに気づいて解放されていくことも多いんです。

自分らしく生きていい

好きな人と出会って結婚して、自分の幸せをつくっていくこと。
自分が好きだから、これがやりたいからと自分らしい生き方をつくっていくこと。
自分らしく自由に、生き方を選択していくこと。

もちろん、これらはしていいことなんです。

癒着を手放していくプロセスでは、繰り返し同じような気持ちが出てきて自分が先に進めていないような、そんな気持ちになることもあるかもしれません。
だけど、外側の目から見るとちゃんと進んでいることもとっても多いんです。

前と同じような気持ちが出てきたときには、またさらに次のステップに行くためにこの気持ちが出てきてるんだなと思ってみてくださいね。

自分らしい幸せを手にしていけますように。

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この記事の執筆者
中村陽子/心理カウンセラー
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