家族を背負って男子のように生きてきた女の子が幸せになるために
なぜか男子のように生きてきた女の子
私たちはなぜか「女であることに自信がない」と思っていたりするんですよね。
え? あの人もそうなの?と驚くくらい多いんです。
自分は女らしくないし。
女として見られていないし、女として扱われていないし。
女性としての価値が自分にはない気がすると思っている人は、とても多いんです。
そして。
自分なんて、男性から選ばれないんじゃないか
男性に好きになってもらえないんじゃないか
と感じているようなんです。
もう私なんて、バリバリの「オンナとしての自信ないっす」タイプでした。
女子っぽい人たち、女性らしい人たち、かわいい人たち、女性としてのやさしさを持っている人たちと自分を比べて、「ぜーんぜん、住んでいる世界が違う。自分とは違う人たち」と思っていたんですね。
だけどこれ「自分がそう思い込んでいる」ということなんです。
不思議なんですけど、なぜか自分が「女性らしさ」や「女子っぽさ」との間に線を引いて
その結果、「女性としての価値は、私にはない」と思っている。
ほんとはあるのに、ないと思っている。
いろんな事情があって、そう思うようになるわけなんですが。
そのうちのひとつのパターンに、「女の子なのに、なぜか男子のように生きてきた」というものがあるんです。
女の子だけど「男子のように生きなくちゃ」って思って生きてきたから。
そりゃあ、世の中の女子、女性たちを見て「自分とは違う」って思ったりするわけなんです。だって、女子を使って生きてきていないから。
だけど……。
心のどこかで思っていたりもするんですよね。
なんか、この生き方ずっと続けてていいのかなって。
なんか疲れちゃったな。いつまでこの生き方続けなくちゃいけないのかな。
ほかの生き方わからないから。
自分には無理なんじゃないかとも、思うようなんです。
女の子として生まれてきているのに、どうしてこんなにも女性としての自分から遠く離れるような生き方をすることになったんでしょう。
人それぞれいろんな事情があるものですが。
たとえば「女の子だけど、誰かを背負う生き方」「女の子だけど、誰かを助けたい生き方」をしてきた。そんなこともあるんです。
家族を背負うために、男役をやっていた
あるクライントさんの話です。
(書いていいですよと言っていただきました。ありがとうございます)
男性とお付き合いしたことがない、という相談でカウンセリングを受け始めたA子さん。
自分には恋愛することとか、ないんだろうな。
そんなふうに思っていたといいます。
というのも、A子さん。
ずっと家族を背負って生きていた人なんです。
お父さんとお母さんの負担を少しでも軽くするために、自分が男役になって家族を背負おうとする生き方をしてきた人だったんです。
A子さんが子どもの頃に、お父さんが病気になりました。
そして、お父さんが大好きだった彼女は、当時、お父さんを助けるために何もできない自分自身を責めるようになりました。
助けたいのに、何もできない自分。助けられない自分を責めたのです。
子どもの頃、お父さんが病気になって家族が大変だった時期に何もできなかった――。
その想いを持ち続けたA子さんは、大人になってからも「家族に負担をかけないように。自分が家族を背負う」ことをするようになったんです。
家族の負担が少しでも減るようにと、自分が男役になって、
家族を経済的に支えなきゃと思うようになったんです。
そうなんです。
女の子に生まれてきたけど、いつの間にか男役を買って出ていたのです。
そして、家族を少しでもラクにするために、自分が家族の分まで経済的に背負って生きようとしていたのです。
気づかない間に、自分が女の子として生きること、女性として生きることとの間に線を引くようになっていたのかもしません。
A子さんのカウンセリングの最初の段階でしたことがありました。
それは「自分が背負っている家族の問題を降ろす」ということでした。
ずっと背負ってきた家族を下ろそうとするとき、「見捨てようとしてるんじゃないか」という気持ちを感じます。まるでいけないことをしようとしているかのように、感じてしまうんです。
そのくらい助けたい気持ちが強いんです。
自分を犠牲にしていると、燃え尽きる
だけど家族を背負って男役をしているままでは、女性として生きることができません。
自分を犠牲にして、恋人をつくることもせず、家族を背負っている。
だけどどこかで限界がくるんです。
この生き方、もう無理って限界がくるんです。
A子さんがカウンセリングにやってきたのは、限界だったからなんです。
周りの幸せそうな人たちを見て、絶望的な気分になったのです。
自分は女の子として生きるわけにはいかないと、決めていたから。
家族を背負っているから、自分が女の子として生きるわけにはいかないと思っていたからなんです。
A子さんは何回かカウンセリングを重ねていく中で、「もうこれ以上背負うのは無理なんだ」と感じたそうです。
そして、A子さんは背負っていた家族をおろしました。
もちろん、背負っていたものを下ろしていく過程で「本当にそんなことしていいんだろうか」という気持ちも出てきたけれど。
それでも、下ろしていったのです。
しっかり者の女子の方々は、
助けたいマインドや、お役に立ちたいマインドをたくさん持っています。
とても心やさしい女性です。
だけど。
ひとつ、大事なことが抜けています。
それは何かというと。
「自分を数に入れる」ということです。
自分を数に入れるとは、自分のことも幸せにするということなんです。
人のことばかりで、人のために頑張ってきたけれど。
もしかしたらその生き方にヘトヘトなのかもしれません。
人のために何かをする、誰かを助けたいと思う。
それ自体は決して悪いことじゃない。
だけど、自分のことも満たさないと、自分のことも幸せにする生き方をしないと燃え尽きてしまうんです。
誰かの役に立ちたい気持ちがあったとしても。
燃え尽きてしまうんです。
自分を犠牲にしてでも、誰かのために生きてきた。
だけど自分のことは後回し。
もし、そんな生き方になっているとしたら。
「自分のことも幸せにしてあげよう」と思ってあげてみてください。
あなたの中の「女の子の自分」を幸せにしてあげよう。
そう思ってみていただきたいんです。
自分を犠牲しない。女性性で与える
A子さんは男子学生に陸上を教えることを仕事にしていました。
というのも、彼女のお父さんは、昔、陸上をやっていたそうなんです。
お父さんが陸上をするかっこいい姿を、彼女は子どもの頃に見ていました。
そしていま、男子学生たちを陸上で輝かせたい。
かっこよく、輝かせたい。
そんな想いから、今の仕事をしていたんですね。
家族を背負うような生き方をして、男役を買って出ていたけれど。
中味は、とてもやさしい女性なんです。
そして自分が思っている以上に、周りはそのやさしさを感じ取っているんですね。
自分だけが気づいていなくて。
だけど周りは、そのやさしさを感じ取っているんですね。
家族の問題を下ろしてからしばらくして
「結婚するっていったって。私をいいと言ってくれる人なんているのかな?」
と、A子さんは言いました。
家族の問題を下ろした分、自分のことを考える「スペース」ができたんです。
自分はこれからどうしたいんだろう、を考えられるようになったんですね。
「私をいいと言ってくれる人なんているのかな?」という悩みを持てるってことは、自分の人生を進め始めたってことなんです。
化粧っけぜんぜんないし、ショートカットだし、スカート持ってないし。
男性とお付き合いしたことないし。
女子をやったこと、ぜんぜんないし。
こんな私をいいと言ってくれる人なんて、いるのかな?
だけど。
化粧っ気がなくたって、スカート持っていなくなって。
魅力、じゅうぶんあるんです。
それを感じてもらうために、宿題を出しました。
「自分の笑顔の影響力を使ってみる」という宿題です。
あなたの笑顔は、男性を力づけます。
だからそれをやってみましょう、という宿題を出しました。
出した宿題は、男子学生を、笑顔で応援すること。
A子さんに「うわ~、すごいじゃん」とか
「がんばって、応援してる」と笑顔で言われるだけで、
彼らの筋肉の動きが、パワーアップするはずだから。それを実験してみて。
と伝えたんですね。
で、試してくれたんです。
陸上の大会の日、Bくんに、
ふと声をかけてみたというんです。
「今日、髪型かっこいいね」
なぜか、思い浮かんだそうなんです。
そうしたら、Bくん。
めちゃご機嫌で、スタートラインに向かっていき。
ベスト記録を出した、というんですね。
え? なにこれ。
とA子さんは思いました。
で、ここポイントです。
「私には、それだけの影響力がある」
男性は褒められるとうれしいんでしょ
って、いま、思いませんでしたか?
そうじゃなくて。
「私には影響力があるんだ。
私がほめたから、うれしくなって、力を発揮したんだ」
なんです。
これはA子さんだけの話ではありません。
みなさんも同じです。
私が「かっこいいね」という
私が「がんばれー」という
私が、誰かを気にかけてあげる
すると、相手はうれしい。
あなたが認めても、認めていなくても。
あなたには影響力があります。
あなたが認めていなくても、周りはあなたを女性として見ています。
あなたがふだん、そう思っていなくても。
周りはあなたを女性として見てくれているんです。
(これに気づくのに、私なんてアラフォーを大きく超える年月がかかりましたが)
女神性で、癒す、勇気づける、与える
女の子だけど男役になって家族を背負おって助けようとするやり方だと、どうしても自分を犠牲にしてしまいます。
だけど、自分を犠牲にしなくても、与えることってできるんです。
自分の心から自然に出てくるようなもの。
自分の心から自然に出てくるような愛し方。
そんな愛し方を見つける一つの方法が、助けたかった誰かを想ってみることなんです。
そして、背負うのではなく、寄り添う、そばにいる、応援する、見守る、勇気づける、関心をもって気にかける、気持ちをわかろうとする、はぐくむ、感じる、喜ぶ……そんなかたちで誰かに与えることもできるんです。
陸上をやっていた頃のお父さん、かっこよかった。
お父さんをまたあんなふうに輝かせたかった。
それがA子さんの原点です。
だから、男性たちをかっこよくしてあげたい。彼女にはそんな想いがありました。
想いって、言葉にしていなくても伝わるものなんです。
男子学生たちは、きっと彼女の想いを感じ取っているんです。
ショートカットでも、化粧っ気がなくても、スカート履いていなくても、いつもジャージ姿だったとしても。
彼女の中に女神を感じていたんです。
彼女の中の女神に力づけられていたんです。
みなさんの中にも、助けたかった誰かはいるでしょうか?
あなたがもし、誰かを助けたかったとしたら誰でしょうか?
いつも寂しそうだった、お父さんでしょうか。
早くに家を飛び出してしまったお兄さんでしょうか。
病気の弟でしょうか。
それとも、あの乱暴モノのお父さんでしょうか。
もしあなたのお父さんが乱暴モノで、お父さんなんて大嫌いだと思っていたとしても。
あなたは子どもの頃に、お父さんの中にいる傷ついた少年を感じたことがあるかもしれません。
もしあなたの中に「誰かを助けたい想い」があるとしたら。
それは、誰を助けたいのでしょうか。
あなたの中の女神は、誰をいやしてあげたいのでしょうか。
あなたの中の女神は、どんなふうに相手を愛してあげたいのでしょうか。
自分の中の女神性に気づくと。
自分をいいものって、思えます。
そして、その女神性をどんなふうに使いたいんだろうと思いをめぐらすうちに、男性を愛したい自分に気づきます。
私、こんなふうに男性を愛したい。
その想いにつながると、男性を幸せにできる私にも気づけます。
これまで男子として生きてきて、あんまり女子やったことないと思っていたとしても。
「あ、私の中に男性を幸せにできる私もいた」って気づけます。
そしてそれは、いままでとは違うやり方で、周りを幸せにしていけるということでもあるんです。
もしこれまで、女の子の自分を生きず、誰かのために生きてきた人が
女性性の力を使えるようになったら。
自分のことも幸せにできます。
そして、女性性を使って周りの人たちに与えることもできるようになるんです。
自分を犠牲にすることなく、与えることができるようになるんです。
自分では気づいていないだけで。
女性としての力、女性性を持っています。
気づいて、使っていくだけでいいんです。
あなたが女性として幸せになっていくこと。
それを待っている人がいます。
あなたを幸せにしていけるように。
お手伝いさせてくださいね。