恋愛心理学

彼氏ができない、男性が苦手な女子のためのお父さん講座

中村陽子/心理カウンセラー

彼氏ができない。
私はお父さんとの心理的距離が遠いタイプだからだ。
自己分析でそんなことまでわかっちゃってるあなたに送るお父さん講座です。

お父さんを嫌いになったのはいつですか?

婚活しなきゃと思ってデートをしても1、2回のデートで嫌になってしまう。手をつながれたりすると、あーもうムリって思っちゃう。
自分から好きになる人は彼女持ちの男性や遠距離の男性など近づけない人ばかり。
たぶんこれって、お父さんとの距離が関係してるんだと思う。

だけど、お父さんとの距離を近づけたほうがいいからっていったって、どうしろというの?

お父さんが嫌い。そう聞くと、こんな質問をしたくなります。

Q.
いつからお父さんを嫌いになったんですか?
どうしてお父さんのことを嫌いになったんですか?

お父さんが嫌いという女子たちからは

「お母さんをいじめていたから」
「お母さんがかわいそうだったから」

そんな答えが返ってくることが少なくないんですね。

・お父さんがお母さんにキレていた。
・お父さんとお母さんがしょっちゅうケンカしていた。
・お父さんがひどい人だった。

お母さんからお父さんのグチを聞かされ続けたこともあり
お父さんは悪い人だと思うように。

あるときから長い間、お父さんを遠ざけて距離をとり「お父さん嫌い」と思い続けてきた。
そんなことが少なくないようです。


だけど、いつからお父さんのことが嫌いになったのでしょう?
赤ちゃんのときから、嫌いだったのでしょうか?
もしかしてお父さんのこと、嫌いじゃなかった時期はありませんでしたか?

「お父さんを嫌いになる前に、お父さんと接した記憶ないですか?」

そう聞いたときに「そういえば……お父さんにこんなことをしてもらった」とエピソードが出てくることもあれば

お父さんに近づいたことがないとか、まったく記憶にないということもあります。

もし、まったく記憶になかったとしても…… お父さんのことが好きだった時期はあったはずなんです。

あんなお父さんで、お母さんがかわいそう

もし、お父さんとお母さんの仲がよかったら、お父さんのことを嫌いにならずにすんだのかもしれません。

「お母さんがかわいそうだったから」
お母さんの側につかなきゃ、と思ったのかもしれません。

お母さんの側についたからには、お父さんを嫌いにならないといけなかったのかもしれません。

お父さんのせいでお母さんが苦労した
そんなお父さんが許せない

あるA子さんのお話です。
(ご本人に許可を得て掲載しています)

A子さんは長い間、お父さんのことが嫌いと思って生きてきました。
お父さんはひどい人、悪い人。お母さんはかわいそうな人と思ってきたのです。

というのも、お母さんがいつも「お父さんとなんて結婚するんじゃなかった」と言っていたからです。

お父さんのせいで、お母さんは苦労したとも思っていました。
お父さんが事業に失敗して、お金が大変な時期があったからです。
お母さんががんばって働いて、その時期をしのぎました。
A子さんは「お父さんって、だめ人間だ」と思うようになりました。

前から、お父さんとお母さんは仲がよくありませんでした。
お母さんからよく聞かされていました。「お父さんとは結婚して1年くらいしか、会話がなかった。お父さんはぜんぜんいい夫じゃないと」
お父さんと結婚したお母さんはかわいそうにと思っていました。

だから、娘の自分は、自分でお金を稼いで生きていけるようにならなきゃと思いました。
なにがあっても大丈夫なように、自分でお金を稼いで生きていけるようにならなきゃ。

おかげで、お金の心配なく一人暮らしはできるようになりました。
それでも30歳をすぎたころから、子どもはほしいなと思うようになりました。

だけど、35歳をすぎても、彼氏をつくることができませんでした。
男性とお付き合いしたことが、なかったのです。
というのもデートをしても2回くらいで、相手の男性がいやになってしまうのです。
これって、おかしいのかな?と感じるようになりました。

そこで、カウンセリングを受けてみました。
いろいろ話をして、自分の心のパターンに気づくようになりました。
男性心理についても、それなりの知識ももつようになりました。

だけどそれでも「私が男性から愛されるわけがない」という思いは、ぬぐえませんでした。

お父さんとお母さんの間で

その理由は……お母さんにありました。

「お父さんはひどい人、冷たい人」
お父さんのことを見るときに、そんなふうに思っていました。
けれど、このものの見方は、お母さんのものだったんです。

お父さんに感じていた「男はこわい、ひどい、冷たい。そのせいで私は傷ついている」という気持ち。ずっと自分の気持ちだと思っていたけれど。
でもこれは、お母さんのものの見方だったのではないか。
そう気づいたのです。

母の感情を、まるで自分のことのように感じる。
そして気づくと、お母さんのものの見方や感じ方と同じものを娘の自分も持つようになっている。
それほどまでに、お母さんと感情的にくっついている。
これを癒着といいます。

お母さんとの癒着に気づいたこと。
それがお父さん、ひいては男性へのものの見方のターニングポイントになりました。

あるとき、「自分はお父さんとお母さんの間の潤滑油になれると思って行動してみるといい」と聞き、実家に帰ったとき、お父さんをあらためて見直してみました。

すると……
お父さんはお父さんなりに、お母さんにやさしさを向けているのがわかったのです。
「お父さんはただの恥ずかしがり屋なだけで。冷たい人ではなかったんだ。お父さんの愛情を受け取れていなかったのは、お母さんだったんだ」

A子さんが長い間、持ち続けていた感情……。
男の人から、私が愛されるわけがない。
捨てられるくらいなら、最初から付き合わないほうがいい。
いつ捨てられてもいいように、期待しないほうがいい。

だけどこの感情は、もともとはお母さんが持っていたものだった。
「自分なんて愛されるわけがない」「自分はいつか捨てられるんじゃないか」と感じていた感覚は、お母さんのものだった。
そう、思うようになったのです。

お母さんとの癒着に気づく。
この思い、おかしいなと思う。
この思いを持つ必要ないと思う。
そうやって、一枚一枚はがしていったのです。

そんなA子さんに彼氏ができ、そして結婚しました。
結婚後もお母さんと癒着している感情に気づくたびに、それを一枚一枚はがしています。
だんなさんから愛されてないんじゃないかと感じるたびに、「これはおかしい」と気づいて、また一枚はがす。

だって、私が男性からの愛情を受け取れるようにならないと、だんなさんを傷つけてしまうから。
自分が変わらないと、大切なだんなさんを幸せにできないから。
その思いが、お母さんとは違う道を歩む力を与えてくれているそうです。

男性から愛されるギフトを持っている

「自分なんて愛されるわけがない」
そんな自己嫌悪を強く持ったお母さんに育てられた娘は、
「自分が愛されてること」を感じにくいかもしれません。

男性から愛されることも、拒絶してしまうかもしれません。

けれど、お母さん自身が「自分が愛されていること」を感じられない人だったからこそ
娘は、お母さんの代わりに「自分が愛されていること」を感じられる女性になれるのかもしれません。

「お母さんになかったものを、子どもが代わりにギフトとして持ってくる理論」というのが、あるらしいんです。

その理論でいうと
「私が愛されるわけがない(と思っている)母」から生まれた娘は、
「私は愛される」を証明するために生まれてきた……ということに。

これを信じるも信じないも、どっちでも選べます。
自分で選んでいいんです。

お父さん講座が、お母さん講座になっちゃいました。
お母さん抜きには語れませんから…。

お母さんの側にいなくてはと思って、お父さんから距離をとるようになった娘は、お父さんが大好きだったのかもしれません。
そろそろ男性から愛されることに、許可を出してもいいのかもしれません。

そのためには、長い間、お父さんを嫌ってきた自分を許すプロセスも必要かもしれません。お父さんを嫌わなければならなかった悲しみを癒すプロセスも必要かもしれません。

男性から愛されることを受け取ること。
そして、女として幸せになること。
愛情深いあなたが幸せになるお手伝いをさせてくださいね。

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この記事の執筆者
中村陽子/心理カウンセラー
中村陽子/心理カウンセラー
4500件以上の個人カウンセリングを行う。婚活がうまくいかない、片思い、異性とお付き合いしたことがない、出産タイムリミットへの焦りなど、女性の生き方のお悩み、人生やり直したい、何がやりたいのかわからないなど自己実現のお悩みを数多くお伺いしています。
私自身、30代後半に子どもがほしいと結婚し、39歳で離婚して、40代前半は諦め&人生迷子のどん底期を味わい、45歳から「50代、60代でも花開く人生」をつくりはじめて、今にいたります。 自分らしい生き方のお手伝いしています。
ツイッター@nakamurayoko70
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