恋愛心理学

彼に怒っちゃうのは、甘えたい気持ちかも

中村陽子/心理カウンセラー

「私のことが大切だったら、もっと私の気持ちをわかってくれてもいいはずでしょ」
「どうして連絡くれないの! こんなことしたら私が嫌がるってわかってるはずでしょ」
「そんなふうにしたら、私が嫌な気持ちになるって。どうしてわかってくれないの」

彼との間のささいなことにイライラし始めたら、そこから怒りが止まらなくなっちゃう。
そして、次から次へと不満がわいてくる。

なんでわかってくれないの。
どうして気づいてくれないの。
このくらいわかってくれてもいいはずでしょ。
わかってくれないって、私のこと好きじゃないからでしょ。

いったん脳内で彼への文句が出始めると、止まらなくなる。

前にも、こんなことがあった。
あのときも私はいやな気持ちになったのに、ぜんぜんわかってくれなかった。
本当はこうしたかったのに、気づいてもらえなかった。

そして、こうに思う。
「彼がこうしてくれないから、私はかわいそう」
「彼がもっとこうしてくれたら、私は幸せになれるのに」

もし、こんなことが脳内で繰り広げられることがよくあるとしたら。

その怒り……「甘えたい気持ち」かもしれません。

こんなところ、ありませんか?

自分の気持ちを押し殺してしまう。
いつも周りの気持ちを察して、自分は動いている。
子どものころから我慢することが多かった。

例えば
妹や弟の世話でお母さんが大変そうだったから、自分は甘えたい気持ちを我慢した。
子どもの頃に家の中が大変だった。少しでも親に迷惑かけないように自分のことは自分でするのが当たり前だった。
親がぜんぜん気持ちをわかってくれない人だった。

そんな我慢のパターンを子どもの頃からしてきた人には
「甘える代わりに怒っちゃう」という表現になることが、少なくないんですね。

子どもの頃から、自分の欲求を押さえてきた。
周りの気持ちは察するけれど、自分の気持ちは押さえて我慢してきた。

もしかしたらずっと「自分の気持ち」に蓋をしてきたのかもしれません。

言ってもわかってもらえないから。
自分の気持ちを言ったら、迷惑かけちゃうかもしれないから。
自分の気持ちを言ったら、相手が悲しんじゃうかもしれないから。

そうやって自分の気持ちに蓋をしてきたのかもしれません。

怒りは感情の蓋、といわれています。
自分が感じたくない感情を、怒りをつかって押し込めているんですね。

では怒りの下にどんな感情があるのかというと、さみしい、悲しい、不安、はずかしい、助けてほしいといった気持ちなんですね。

だけど、子どものころからなんらかの事情があって、これらの気持ちを表に出すことができなかった。
怒りを使って押し込めてきたのかもしれないんですね。

自分からは表現できない。
だから「察してほしい」となります。

表現できない気持ちを子どものころから抱えてきた人ほど、相手の気持ち、周りの気持ちを察することをしてきていることが多いんです。

だからよけいに思います。
「どうしてわかってくれないの!」
「私はずっと察してきたのに。どうして私の気持ちはわかってくれないの」

当たり前にあっていい「甘えたい気持ち」「わかってほしい気持ち」を表に出すことができない。
そして、代わりに怒っちゃっていたんですね。

甘える代わりに怒っちゃうタイプの人は、とてもやさしい人が多いんです。
相手をおもんばかる気持ちの持ち主であることが、多いんですね。
だけど、自分の気持ちを我慢している分だけ、脳内で怒りの妄想があれこれ出てくるものです。
そんな怒りの妄想を持っていること自分を「やさしい」とは思えないことも多いのですが、それは根っこがやさしいからなんです。

その怒りのルーツは、彼への怒りじゃないのかも

彼に怒りを感じているとき、元をたどれば「子どもの頃に親にわかってもらえなかった気持ち」が根底にあることが多いんです。

彼とは、心理的距離が近い相手です。
子どもにとって心理的な距離が近い相手は親なのですが、それと同じ距離に入ってくるのが恋人なんですね。

そのため、親に対して感じていた気持ちが、彼との間で再現されやすいんです。

子どもの頃に親が共働きで「自分のさびしい気持ちを伝えたら、親に迷惑がかかっちゃう。だから本当はもうちょっと一緒にいたいけど我慢しなくては」と思ってきたとします。
ほんとうはさびしいから一緒にいてほしいんだけど、それを言わずに我慢してきた。

すると、「彼と本当はもうちょっと一緒にいたいのに、そうすることができない」というシチュエーションになったときなどに、怒りを感じたりするんですね。

「寂しいから、本当はもうちょっと一緒にいたい」という気持ちではなく、「怒り」を感じやすいんです。

だけど、彼女から怒り表現されても……彼はどうしていいかわかりません。

彼女が怒っている
不機嫌になっている
彼女が押し黙ってしまった

としか、相手には伝わらないんですね。

そんなとき、ますます「どうしてわかってくれないの!」という気持ちが出てきたりするのですが。
もしかしたら、「自分が自分の気持ちをわかってあげること」がまずは大事かもしれないんですね。

子どものころの本当はわかってほしかった気持ち。
その気持ちと自分自身がつながっていない。
怒りを使って抑えたり、切り離してきたから、自分自身がその気持ちとつながっていない。
だから、怒りとしてしか感じられない。

だから
まずは、子どものころの気持ちを大人のいまの自分がわかってあげること。
大人の自分が、子どものころの自分の気持ちをわかってあげようとする、受けとめてあげようとすることなんです。

そうすることで「私、さみしいって思ってたんだ」「私、悲しいって思ってたんだ」と怒りの下にある自分の気持ちに気づけるようになるんですね。

カウンセリングのセラピーで「あのときの子どもの頃の自分の気持ちをわかってあげようと思ってみてくださいね」というのをすることがあります。
これは、抑え込んでわからなくなってしまった自分の気持ちとつながり直すということをしています。
そのくらい、自分の気持ちってわからなくなっていたりするものなんですね。

怒っていたのは、自分で自分の気持ちがわからなかったから

自分の気持ちが自分でもわからないから、怒りになっていただけ。
(だから、怒っちゃう自分を嫌わないでくださいね)

自分の気持ちとつながることができれば、それを伝えることができるようになります。

手をつないでくれたら、うれしい。
ぎゅっとしてくれたら、安心する。
もうちょっとそばにいてほしい。
今日は嫌なことがあったから、やさしくしてくれたらうれしい。
そんな言い方をされると、悲しい気持ちになっちゃうかも。

こんなふうに自分の気持ちを伝えられるようになると、彼にもわかってもらいやすくなります。

怒りの気持ちだけを伝えられたら、彼はどうすればいいかわからなくて怒る彼女から距離を取っていただけかもしれません。

怒ったときに、彼から距離を取られたとき「私のことが好きじゃないのかもしれない」って、思っちゃったかもしれないけれど。
そうじゃないんです。
彼は、女性の怒っている姿が苦手なだけで。

あなたが嫌になって、怒るあなたから離れたわけではないんです。

だとしたら、怒りではないカタチで、自分の気持ち伝えたいですよね。
ふたりの関係のためにも、怒りではないカタチで自分の気持ちを伝えたいですよね。

彼だって「こうすると、彼女は喜ぶんだ」「こうすると彼女は安心するんだ」とわかれば、繰り返すうちにだんだんあなたの扱い方もわかっていくはずです。

もちろん、すべてのお願いを聞いてもらうことはできないかもしれないし、彼も上手にあなたを扱うことができないこともいろいろあるかもしれません。

それでも、彼だって、あなたを喜ばせることができたらうれしいんです。

自分の気持ちと自分がつながれるようになるまでは、「怒り」が出てきちゃうことももちろんあると思います。
自分でも制御できなかったりしますから。

そんなときは、自分の気持ちをわかってあげようとしつつ、彼には「さみしいって感じると、私、怒っちゃうみたいなの」など、怒りになっちゃう理由を伝えておくのもいいかもしれません。
頭で理解できると、男性は安心するんですね。

それでもやっぱり、大事なのは自分の気持ち。

怒りの下には、自分の本当の気持ちがある。
自分が自分の気持ちをわかってあげたい。

まずはそこからはじめてみてくださいね。

言いたいことを言えないあなたが、恋愛で幸せになるために
この記事の執筆者
中村陽子/心理カウンセラー
中村陽子/心理カウンセラー
4500件以上の個人カウンセリングを行う。婚活がうまくいかない、片思い、異性とお付き合いしたことがない、出産タイムリミットへの焦りなど、女性の生き方のお悩み、人生やり直したい、何がやりたいのかわからないなど自己実現のお悩みを数多くお伺いしています。 30代後半に子どもがほしいと結婚し、39歳で離婚して、40代前半は諦め&人生迷子のどん底期を味わい、45歳から「50代、60代でも花開く人生」をつくりはじめて、今にいたります。 自分らしい生き方のお手伝いしています。 ツイッター@nakamurayoko70
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