もう子ども持てないなと思ってから、人生が動き始めた

中村陽子/心理カウンセラー

行き詰まってしまって、これから先どうしていけばいいのかわからない。
自分の将来なんて、とてもじゃないけど希望が見いだせない。
周りの人たちは幸せそうに見えるけど、自分には何もない気がしてしまう。

生きているとそんな時期って、あるのではないでしょうか。

これから先の未来に希望なんてぜんぜん思い描けない。
そのどん詰まり感は、もしかしたら生き方を変えるために訪れているのかもしれません。

夜明け前が一番暗いというけれど。
いまのどん詰まり感があるからこそ、自分自身と向き合ったり、ほんとうにこれでいいんだろうかと悩んだり、何かに手を伸ばしたりするんだと思うんです。
そしてそのどん詰まりを抜けたとき、そこには新しいステージが広がっている。そんなことってあるんです。

私はyoutubeをよく見るのですが、中田敦彦さんがこんなことを話していました。

youtubeを始める前、どん詰まっていた。
テレビの仕事も降りてしまっていたし、いったいこれから何をやればいいんだ、でも何もないじゃないかと。公園のベンチで途方に暮れていた。そんなとき、カジサックさんから「教育系youtuberをやればいい」と以前に言われたことを思い出した。それでやってみようと思った。

youtubeに舵を切って、自分のエネルギーをそこに注いだことで、大成功をするわけですが、この新たなフィールドへの方向転換も「自分には何もない」というどん詰まりがあったからこそのものだったんだなと思うわけなんです。

これ、私の話なんですが。
40代前半は、まさに先の見えない灰色の世界の住人だったんです。

自分には家族がいない。結婚していないし、子どももいない。
仕事だって、お金を稼ぐためにやっているけれど、気力的には枯れていて。もちろん正社員じゃないし。
自分の生きてきた生き方は、間違いだったんじゃないか。
だって、いま自分の手元には、何もないんだから。

そんな思いでいっぱいでした。

人生どこで失敗してしまったんだろうと、自分のそれまでの生き方を否定してしまい、どうしてこんなことになっちゃったんだとひたすら自分を否定していた。そんな日々を送っていました。

その中のひとつが、子どもをつくれないことでした。
42歳くらいのころが、一番きつかった。

子どもを産むならラストチャンス。
なのに、相手がいないんです。

もちろん婚活の場には出ていくものの、すぐに結婚できるわけもなく、ただむなしく時間ばかりが過ぎていく。
その過ぎていく時間を止めることなどできるはずもなく。

どこで人生間違えてしまったんだろうと。

子連れのファミリーを見るのがしんどくて。スーパーに行くのも嫌だったほどでした。

子どもがすごくほしかったんです。
だけど、いまから思うと、
「子どもさえ持つことができれば、自分の空虚感が埋まるんじゃないか。
子どもさえ持つことができれば、これから先の人生に『やるべきこと』ができるんじゃないか。
子どもさえ持つことができれば、自分の人生失敗だったという思いを埋めてくれるんじゃないか」

これらの思いが、あったように思うんです。

そのくらい自分を空虚に思っていたし、もう何をしたらいいかわからなくなっていたし、自分の生きてきた道を失敗だったと思っていたんですね。

いまになって思うと。
自分には、この空虚さを埋める力はない。
自分には、この失敗感を取り戻せない。
自分には、もう熱くなれる何かがない。

自分では、自分の人生を満たしていくことができない。
そう、思っていたんですね。

40代前半の自分の人生終わっちゃった感を抜け出すために必要だったのは、私の場合、自分の人生は自分で満たしていけるんだということを取り戻すことでした。

自分では、もう何もできない。
自分では、もうエネルギーを注げない。
自分には、自分の人生をつくっていく力がない。
と思ってしまっていたけれど。

そうじゃなかったんだ――。


もう子どもを持つのは無理だな。
そう思い始めた44、5歳ごろから、何かを探し始めたんですね。

子どもを持つのは無理だなと思ったから
「子どもさえいてくれれば」で満たそうとしていた何かを
自分で満たすためにはどうすればいいんだろうと、動き始めることができたんです。

灰色の日々をそれからも生き続けるには、あまりにも長すぎたから。
100歳まで生きそうだもんな。寿命長そうだからな。
あと50年、生きるとしたならば。
それに耐えうる何かを、見つけなきゃな。

私の場合、耐えうる何かのキーワードは
愛と情熱の注ぎ先でした。

自分の愛情、自分のエネルギーを、自分の想いを注げる先がほしかった。
情熱的に何かにエネルギーを注ぎたかったんですね。

愛と情熱の注ぎ先。自分は何に愛と情熱を注ぎたいんだろう。
そう思うようになってから、大きく何かが動き始めました。
それまで壁にぶつかって、前に進めなかったのに。
動き始めることができたんです。

何から始めたらいいかわからないけど、とにかく思いつくものに手あたり次第、手を出しました。
最初はめっちゃ手探りです。
何をすればいいのか、わからなかったから。
やってみて、不発もたくさんありました。


だけど手探りでも、不発がたくさんあっても、ぜんぜんOK。
大事なのは動き始めること。
動き始めれば、自分にとって必要な情報、必要なものにだんだんとアクセスできるようになっていくようなんですね。

余談ですが。
出会ってよかったと思うもののひとつが、カウンセリングです。
生きてきた中で、たくさんの失敗感を抱えてきた。
あまりにたくさんの失敗感を抱えすぎて、身動きがとれなくなっていた。自分の人生もう終わってると、人生を諦めていた。

だから、面白いとか楽しいとか、そんな感覚がまるでわからなくなっていた。

抱え込んできたたくさんの失敗感や怒りや悲しみ……自分が抱え込んだネガティブな感情を癒していったら。
感情や感覚が戻ってきたんですね。
長い間、ロボットみたいに、ただの働く機械になっていた。
何も感じなくなっていた自分だったけど。
楽しいとか面白いとかこれ好きとかこれやりたいとか…。
そんな感覚が戻ってきたんですね。

子どもはもう持てないな。
そう思うことができたから、自分を再生させなきゃって思えたのだと思います。

自分の中の空白を、子どもで埋めることができなかった分
自分自身を再生させる方向に、舵をきれたのかなって思うんです。

いまから思うと、自分の中の空白を子どもで埋めるような方向にいかなくて、よかったなと思います。

子どもがいても、いなくても。
自分の人生は、自分でつくっていける、自分で面白くしていける。
そのためにも、自分の力を取り戻す。


いつか結婚して、子どもを持つんだろうなって。ふつうに思ってた。
だけど、気が付くと、もう子どもの持てない年齢になっている。

自分の人生どう生きようなんて、考えたことなかった。
だから、どんなふうに生きていけばいいのかわからない。

もしそんな気持ちがあるのだとしたら。
そこを抜けた先に、新たなステージが広がっているかもしれません。


自分の人生を楽しみたい。
本当はもっといきいきしたい。
自分を注げる何かがほしい。
もっと力一杯生きてみたい。

たとえばそんな思いが心のどこかにあるなら。
きっと、そっちに向かっていけます。

自分自身で、そっちに行ってみたいと思うことで、だんだんとそっちに向かっていけます。

いまはそう思えなくても大丈夫です。
願うことで、そっちに向かっていけますから。

もし一人では、とてもそう思えないなら。
一緒に探していきませんか?

この記事の執筆者
中村陽子/心理カウンセラー
中村陽子/心理カウンセラー
4500件以上の個人カウンセリングを行う。婚活がうまくいかない、片思い、異性とお付き合いしたことがない、出産タイムリミットへの焦りなど、女性の生き方のお悩み、人生やり直したい、何がやりたいのかわからないなど自己実現のお悩みを数多くお伺いしています。
私自身、30代後半に子どもがほしいと結婚し、39歳で離婚して、40代前半は諦め&人生迷子のどん底期を味わい、45歳から「50代、60代でも花開く人生」をつくりはじめて、今にいたります。 自分らしい生き方のお手伝いしています。
ツイッター@nakamurayoko70
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