子ども産めないかもしれないという気持ちが、恋愛・パートナーを遠ざけてしまうとき

中村陽子/心理カウンセラー

子ども産めないかもしれない。
子ども産めないから。
この思いが恋愛やパートナーシップに影響を与えていることがあるかもしれない。
今日はそんなお話です。

パートナーがほしい気持ちはあるのに、なかなかうまくいかない。
結婚しているけれど、夫と別れたほうがいいんじゃないかと思う。
こんなふうになっているのには、いろんな理由があるけれど。そのなかに、子どもを産めないかもしれないからという思いが無意識的に影響を与えていて、彼ができなかったり、夫から離れようとしていたりしていることもあります。

たとえば。
付き合っている彼と結婚の話が出そうになったころ、別れてしまった。
自分には婦人科系の病気があって。子どもができないかもしれない。結婚を考えている彼に、そう伝えてみた。だけど彼は「ぜんぜん大丈夫だよ。気にしてないよ」とは言わなかった。それって私ではだめってことなんでしょ。
そう感じて、関係を終わらせる方向に向かわせてしまう。
そんなことがあります。

子どもがなかなかできなくて。夫に別れを切り出した。夫からは子どもがいなくたってぜんぜん構わないと言われたけれど。それを言葉どおりに受け取ることができなくて。別れたほうがいいんじゃないかという悩みをずっと持ち続けている。そんなこともあるようなんです。

そのくらい子どもを産めないかもしれないこと、子どもを産めないことについて自分を責めてしまっている。
子どもを産めない自分は、価値がないんじゃないかと感じている。
大事なものを、相手がほしがっているものを与えてあげられないんじゃないかと感じている。
そんなことも、あるようなんですね。

子どもが産めないことで、無意識的に自分を責めてしまうとしたら。
そのくらい、子どもがほしいという気持ちがあるのかもしれません。
子どもを産んであげたいという気持ちがあったのかもしれません。
子どもってきっと特別な存在なんだろうと感じている気持ちがあるのかもしれません。

子どもを持つことについて、できることが当たり前のような感覚がある分だけ、
できないから、持てないからと自分を責めてしまうこともあるのかもしれません。

表面的に感じているのは「こんな私じゃ、相手にきっと受け入れてもらえないはず」「私じゃないほうが、きっといいはず」という気持ちかもしれないけれど、受け入れてもらえないんじゃないかという気持ちのその奥には、「相手の迷惑になるわけにはいかない」という気持ちがあるようなんです。

相手の迷惑になるわけにはいかないから。
それが自分にとって大切な男性ならばなおさら。
だとしたら、自分は身を引いたほうがいいんじゃないか。
そんな思いが心の奥にあって、恋愛や結婚を終わらせようとする方向に進んでしまったり、なかなか距離の縮まらない相手に片思いを続けていたり、彼を見つけよう、出会いを探そうという気にずいぶん長い間ならないままだったりということって、あるみたいなんですね。

これって、迷惑にならないようにという形の愛情なんですよね。
だけど、迷惑にならないようにって思っているとき、見えなくなっちゃうものがあるんです。
それは何かというと、相手からの想いです。

相手があなたのことが好きで、あなたと一緒にいたいと思っていたとしても、「子どもを産めないから私じゃないほうがいいよ」という思いがあると、それが見えなくなっちゃうんです。

迷惑にならないようにという思いがあると、相手の愛が受け取れなくなってしまうんです。

相手にとっては、あなたが想いを受け取ってくれることのほうが幸せなのかもしれない。
相手にとっては、あなたが想いをちっとも受け取ってくれないことはとても悲しいことかもしれない。
相手にとっては、あなたがただ隣で笑ってくれていることで十分なのかもしれない。
これらの想いが見えなくなってしまうんです。

私じゃないほうがいいよ。そう思っているとき、一方向的なものの見方になってしまうんです。
一方向とは、こちら側からだけのものの見方。
こちら側からだけのものの見方をしているとき、相手の想いが見えなくなってしまうんですね。

一方向的なものの見方って、いまの自分から見た「こうしたほうがいいに決まってる」というものなのだけど、ほんとうは幸せになる道は何十通りも何百通りもあって、いまの自分から見た「こうしたほうがいいに決まっている」以外にもたくさんの幸せになる道があるのだけれど、それらの道がまるで見えなくなってしまっているとしたら……。
もったいないことだと思うんです。

もし、何十通りも何百通りもある幸せになる道がいま見えなくなってしまっているのだとしたら、子どもを産めないこと、産めないかもしれないことにまつわる自分の思いをいったん整理してみたほうがいいかもしれません。
子どもを産めないことについて、自分の中にどんな想いがあるのか。
それらをいったん見つめてみてもいいかもしれません。

自分の中にこんな思いがあったんだ。
気づくことで、思いを持ち続けるか、手放すかという選択ができるようになります。
気づいていないと、どうして自分でもこんな行動をとるのかがわからないまま、別れようとしてしまったり、長い間パートナーを作らずに片思いを続けてしまったりするけれど。
「自分の中にこんな思いがあったんだ」と気づくことで、その思いを持ち続けるのか、手放すのかの選択ができるようになります。

子どもを産まないこと、産まないかもしれないことにまつわる思いを整理して、手放したら。
いままで見えていなかった、相手からの想いが見えてくるかもしれません。
無意識的に子どもを産めるとか産めないとかに囚われていたけれど、それ以外にも生き方の選択肢、自分も相手も豊かにする選択肢ってたくさんあったんだなということが、見えてくるかもしれません。

何かの思いに囚われているとき。
どんな思いに囚われているのかに気づいていった分だけ、見えるものが増えていきます。
すると、選択肢がないように思えていたことの中に、実は多様性があったんだ、なんだこんな道もあったんじゃんって、思えるようになるかもしれません。

あなたが、あなたを愛する人と幸せになりますように。
たくさんの道が広がっていることに気づいて、自分を幸せにする選択をしていけますように。
お手伝いさせていただけたら、うれしいです。

この記事の執筆者
中村陽子/心理カウンセラー
中村陽子/心理カウンセラー
4500件以上の個人カウンセリングを行う。婚活がうまくいかない、片思い、異性とお付き合いしたことがない、出産タイムリミットへの焦りなど、女性の生き方のお悩み、人生やり直したい、何がやりたいのかわからないなど自己実現のお悩みを数多くお伺いしています。
私自身、30代後半に子どもがほしいと結婚し、39歳で離婚して、40代前半は諦め&人生迷子のどん底期を味わい、45歳から「50代、60代でも花開く人生」をつくりはじめて、今にいたります。 自分らしい生き方のお手伝いしています。
ツイッター@nakamurayoko70
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