アルコールを飲むお父さんが嫌だった
恋愛で、彼から愛されている気がしない
恋愛のご相談を伺っていて、
なかなか男性とお付き合いに発展しなかったり
遠距離、三角関係、ロックマンなどなかなか距離を縮められないような男性ばかりを選んでしまったり
自分でもどこかあえて本気にならずにすむ相手を選んでいたり
助けたい相手ばかりと付き合ってしまったり
などのお悩みの中に、お父さんがアルコールを飲む人だったというお話が出てくることがあります。
恋愛をしていても、彼に愛されていると感じられない。
自分なんていないほうがいいんだ。
自分がいたって、迷惑なだけなんじゃないか。
という思いがぬぐえない。
そんなお話を伺うことがあります。
そこは家族を助けたかった気持ちをめぐる葛藤が、心の中にあるのかもしれないんです。
アルコールを飲むお父さんの姿が嫌だった
アルコールを飲むお父さん。
酔っぱらった父親がひどい言葉を言う、父と母が怒鳴り合いのケンカをしている、父親はいっさい自分の行いを改めない、母の人生に幸せそうなことがぜんぜんない――。
それもこれも、アルコールをやめないお父さんのせいだ。
家の中に楽しいことがなかった。
家の中がいつも暗かった。
あの怒鳴り合いのケンカが本当に嫌だった。
アルコールを飲むお父さんのことで、ほんとにつらい思いをされてきたというお話を伺うことがあります。
お父さんが家の中を引っ掻き回したこと、ひどい言葉で人格否定をされたこと、飛び交う怒号。本当に嫌な思いをし、苦しい思いをたくさん抱えてきたのではないでしょうか。
お父さんの暴言や荒っぽい行動のせいで、家族が大変な思いをした。
ほんとうにそのとおりだと思います。
だけど、さらにもう一段深いところで、つらい思いを抱えた原因があるようなのです。
自分には何もできない、自分は役に立たないという思い
アルコールを飲むお父さんのみならず、親が病気だったり、精神的な不安定さを抱えていたり……。親が大変そうだったという環境の中にいた子どもが知らない間に抱えてしまう思いがあるんです。
というのも。
子どもは「親を助けたい」と思うものだからです。
お父さんがおかしくなっている、お父さんとお母さんが言い争いをしている、お父さんのことでお母さんが大変な思いをしている、お母さんがいつも愚痴を言っている。
これらの状況を見たときに、なんとかしたいと思うものなんです。
おかしくなっているお父さんをなんとかしたい。
お父さんとお母さんの間の怒鳴り合いをやめさせたい。
けれど、子どもの自分には何もできなくて。
両親の間に入ってお母さんの代わりにお父さんに立ち向かったりしてみるものの余計に火に油を注ぐようなことになってしまったりもして。
助けられなかったという無力感を抱えて、何もできない自分、何の役にも立たたない自分、助けられない自分をひどく責めてしまうのです。
自分なんていなくなったほうが、いいんじゃないか
家族のことを助けたい、だけど何もできない。
そんなふうに幼心を痛めているとき、子どもなりにどうすれば親の役に立てるんだろうと思うあまりに、「自分がいなくなったほうが、家族がラクになるんじゃないか」という思いさえ、抱くこともあります。
何もできないなら、助けられないなら。
こんな自分なんていないほういいんじゃないか、自分がいなくなったほうが家族がラクになるんじゃないかとまで、思うようになってしまうこともあるのです。
だって。
お父さんがおかしくなっているのを見るのがつらいから。
やさしいお父さんのことも知っている。だからこそ、あんなお父さんの姿を見ること自体がつらいから。
お父さんとお母さんが言い争っているのを見るのもつらいから。
ほんとはなんとかしたいけど、お母さんの愚痴を聞きながらお父さんのこと何とかしなくちゃと思うけど。だけどなんにもできなくて。なにもできないことから逃げ出したくて。
だけど、逃げ出したいという思いを持ってしまったこと自体に「自分はなんて冷たい人間なんだろう」と思ってしまうのです。
両親の間で、心が引き裂かれそうになりながら、自分の心を凍り付かせるしかない。
そんな思いにさえ、なります。
逃げ出したいと思った自分は、冷たい人間
あるA子さんの話。
お父さんのアルコールのことで、お母さんからよく電話がかかってきたといいます。
「お父さんがまた飲んでいる。嫌だ嫌だ」「お父さんと一緒に暮らしたくない」「お父さんと別れたい」と。
「お父さんと一緒にいたくない」という電話がかかってくるたびに、「あなたがなんとかして」と言われているように感じました。
だけどなんとかすることなんてこと、到底できなくて。
お母さんからの電話に出るのを避けるようになりました。
「逃げちゃった」と思いました。
ほんとはなんとかしなきゃいけないのに、逃げちゃった。
逃げた自分を、とても冷たい人間だと思うようになりました。
お酒を飲んでいる父にやさしくできない自分も嫌でした。
自分のことをひどい人間、冷たい人間、ぜんぜんやさしくない人間と思うようになったんです。
両親の間に挟まれて、何もできない状況にいるのって、心が引き裂かれそうになるんです。
子どものころにずっとこの状況にいなければならなかったとしたら、どれほど心を痛めたことかと思うのです。
だけど。
助けられなかったって思う必要は、ほんとうはないんです。
助けられなかったと自分を責めてしまう必要は、ほんとうはないのです。
心を痛めてしまうのは、愛があるから
子どもって、親の愚痴を真剣に聞いてしまうんです。
愚痴りたいだけなのね、なんて到底思うことはできないんですね。
親の愚痴を真剣に受け止めて、なんとかしてほしいって言われてるんだと感じて、だけどなんともすることができなくて。
無力感や失敗感を抱えて、自分を無力で冷たい人間だって思うようになったとしても。
それほどまでに自分を責めていること自体
親を想う気持ちがあるから、なんです。
根底にあるのは、親を想うやさしさ、愛情なのです。
嫌な思いをしているお母さんを助けてあげられないと感じるのも
お父さんとお母さんの不仲に心を痛めているのも
お父さんを嫌っている自分を冷たい人間と感じているのも
その根底にあるのは、愛情なんです。
もともとやさしい子だからこそ、こんなにも自分を責めてしまうんです。
あのお父さんに、嫌な顔を向けたそのことひとつとっても、きっとそのたびに「また冷たくしちゃった」とチクリと自分を責めているのは
そもそもがやさしい子だからなのです。
心を痛めるほどの助けたい想い。
それは愛からの想いなんです。
これまで無力感や失敗感ばかりを感じてきたかもしれません。
だけど、まったく助けられなかったわけではないはずなんです。
助けられなかったことばかりを見てきたかもしれないけれど。
ただあなたが存在しているだけで、お母さんをなごませてきたのではないでしょうか。
お母さんを助けたいって思ってくれているその想いそのものが、お母さんを救ってきたのではないでしょうか。
誰かが自分のことを想ってくれている。それだけでも、お母さんの支えになていた、救いになっていたのではないでしょうか。
愚痴を聞くのはほんとうにつらいし、ほんとうは嫌なのに
それでも愚痴を聞いてあげたとするならば。
そのたびにお母さんの気持ちを軽くしてあげてきたのではないでしょうか。
子どものころ、お酒に呑まれていないお父さん。
そのお父さんにとって、あなたの存在はきっと心をなごませていたのではないでしょうか。
ただあなたが笑顔で、楽しそうにしてるだけで。
そのあなたの存在が、お父さんをなごませていたのではないでしょうか。
いま、自分ではとてもそう思えないかもしれません。
だけど、あなたの存在がお父さんをお母さんの心をなごませ、あたたかくし、生きる意味を与えていたのではないでしょうか。
自分なんていないほうがいいんだ。
自分がいたって、迷惑なだけなんじゃないか。
心のどこかにそんな思いがあるのだとしたら、自分の存在がただ存在していただけで親の救いになってきたことを、受け取っていただきたいのです。
これまでの恋愛で、彼が私のことを好きなわけがないって思ってきたかもしれません。
自分なんていないほうがいいんだ。
自分がいたって、迷惑なだけなんじゃないか。
と感じてきたかもしれません。
だけどそれは、彼からの想いを受け取ることができなかっただけなのかもしれないんです。
自分なんていないほうがいい、という思いがあるから。
彼がもしあなたのことを想っていても、それを受け取ることができなかっただけなのかもしれないんです。
彼のためにも、これから現れる未来のパートナーのためにも
自分がただ存在していることが、親を救てきたのだということを受け取っていくといいんです。
幸せになっていいんです。
母性を深い愛情を持っている自分に気づく
こんなにも助けたかった気持ちをずっと持ちつづけてきたならば、きっと男性の心をいやしてあげられるような女神性をいっぱいお持ちなのではないでしょうか。
母性と深い愛情をたくさんお持ちなのではないでしょうか。
そしてほんとうは誰よりも、男性を深く愛したい方なのではないでしょうか。
男性を愛せずにいる、男性と本気の関係に踏み出せずにいるいまのこの状態は、とてもしんどいんじゃないかと思うのです。
自分の中の愛情を使えずに、溜めたままでいるのってほんとうにつらいものだから。
もし無力感や失敗感が、あなたをいまも苦しめているとするならば。
これらの思いを手放していきませんか?
どうか、これらの思いを手放していきませんか。
あなたがほんとは一番したいことができるように。
よかったらお話を聞かせてくださいね。
彼氏ができない、男性が苦手な女子のためのお父さん講座