恋愛心理学

心にぽっかりあいた穴を、恋愛で埋めたい心理

心にぽっかりあいた穴を埋めたい

心にぽっかり穴があいている。
恋人がいて、恋人とべったり一緒にいられたり、一緒に暮らしたりしているときは、穴を感じなくてすむ。
恋人がいることが、その穴を埋めてくれるから。

だけど、別れたりすると、大きな穴が心にぽっかりあいているのに気づく。
それを埋めたくて埋めたくて、どうしようもなくなる。

そんな感覚をお持ちの方、いらっしゃるかもしれません。

たとえば、あるA子さんのお話。

長い間、空洞は誰かに埋めてもらえばいいと思ってました。
空洞を埋めるには、恋人が必要。恋人さえいれば、土台が安定する。
そんなふうに思っていたのです。

空洞を埋めてくれる、なんでも言うことを聞いてくれるやさしい彼。
誰かが隣で寝てくれている。
そんな彼がいるときは、空洞を感じずに暮らせていました。

そんなA子さんも結婚し、家族を作ろうとしました。
だけど、離婚。自分のせいで離婚になっちゃったんだと自分を責めた分、恋人をつくることができなくなった時期がありました。
とても大きな空洞が空いてるんだけど。
それを埋めるすべがありませんでした。

めちゃめちゃ苦しくて、いつこの苦しさから抜けられるんだろうと思ったものの、どうにもならない。

空洞を抱えているとき、人肌を求めたり、お酒を飲んで紛らわしたり、ワーカホリックになったり。
なにかでこの空洞を埋めようとします。

こんなことしてるのもおかしいとも思っている。だけど、やめられない。
その繰り返しの中で、なんでこんなことしてしまうんだろうと自分を責める気持ちも出てきます。
お腹が空いているわけではないのに、無性に食べてしまったり、飲みたくないのにあびるように飲んでしまってあとから自己嫌悪におちいったり。

いったいどうすればこの空洞、埋まるんだろうか――。

この空洞は、孤独感です。

この孤独感は、親から心理的に距離を置いてしまった経験があったり、心の中に「切り離してしまった自分、閉じ込めてしまった自分(マインド)」があったり、家族の誰かが持っていた空洞を子どもの頃に自分も抱えるようになったり、ということがあるようです。

自分の心を取り戻す

A子さんの話に戻ります。
母親との間に心理的距離がものすごくありました。
それは自分でもわかっていたけれど、母との心の距離を縮めようと思ったことは、ありませんでした。
一生死ぬまで、このままでいいと思っていたんです。

だけど、ある人に心の空洞の話をしたら、言われたんですね。
「それ、お母さんとの心の距離と関係してると思うよ。いやだろうけど、そこに手をつけたほうがいいよ」って。

お母さんとのことを考えると「絶対いやだ。触れたくない」と思ったけれど、空洞を感じ続けるのもあまりにしんどかったので、この「絶対いやだ、触れたくない」という気持ちをただ感じてみることにしたんです。
いいとか、悪いとか判断しないで、ただただ「そうなんだ」「こう思うよね」と感じて、受け入れていく。
すると、ブラックホールのように思えていた空洞が少し埋まり始めたのです。

一匹狼のような生き方を変えたもの

カウンセリングも受けるようになりました。
後から振り返ってみると、カウンセリングを受けることは、人に受け容れてもらうという体験をする時間だったと思います。

それまでは、ずっとひとりでやってきて、誰にも自分のことなんてわかってもらわなくていいと思ってきた。そんな自分が、誰にも見せなかった自分の気持ちを人に話し、人に受け容れてもらう。
そんな体験をする時間となったのです。

一匹狼のような生き方をしていた自分が、少しずつ自分の気持ちを人に話せるようになり、わかってもらうということを自分に許可して、受け容れてもらう。
それは、とても大きな意味がありました。

自分のことを、決して人に見せない。
たとえしんどいことがあっても、洞窟の中に身を隠して傷口は自分で舐めて直す。
そんな生き方をしてきた人間が、自分の気持ちを誰かに見せることができるようになった。

それは、カウンセリングという場で、相手はカウンセラーだったけれど、逆を言えばカウンセリングという場だったからこそ、自分の気持ちを誰かに見せることを自分に許せたとも言えるかもしれません。

そして、カウンセラーに自分の気持ちを見せることができたこと。
その体験が「人との関係性の基礎」となりました。
カウンセラーとの間で体験した関係性は、他の人との間でも再現できるようになるからです。カウンセラーとの間で自分の気持ちを打ち明けることは、「人に自分の気持ちを打ち明ける体験」であり、人に自分の気持ちを打ち明けても大丈夫なんだという体験になります。すると、他の人~たとえば親しい友達や恋人~に対しても、自分の気持ちを打ち明けるのもアリなんだと思えるようになっていきました。

自己否定は、自己価値の喪失です。否定してしまった自分を受け入れていった分だけ、自己価値を取り戻すことができました。
孤立は、情緒的なつながりの喪失です。カウンセラーとの間で情緒的なつながりを感じさせてもらいながら、情緒的なつながりを取り戻していく時間にもなりました。

すると、これまで生きてきた中で出会ってきた人との間にあったつながりも、感じられるようになってきたのです。中学の同級生、辞めた職場の同僚や先輩……。関係性が遠いところからだったけど、なかったと思えていた関係性が「あ、あった」に変わっていきました。
また、人にだんだんと自分の気持ちを見せることができるようになっていった。もちろん、みんなに見せられるようになったわけではありません。
だけど、一人でも二人でも、自分の気持ちを見せることができるようになった。
それはとても大きなことだったのです。

そして気づくと、いつの間にか心の空洞は埋まっていて。
自分の心がみたされていると感じられるようになりました。

人に受け容れてもらいながら、自分の心を受け容れていく。
それは、自分の心を統合していくプロセスでした。
自分が痛みのあまり、切り離した心。
それらの心を一つ、また一つと受け容れて、自分の心に統合していくことで、空洞が埋まっていったのです。

外から埋めるのではなく、内をみたす

心の空洞を誰かや何かで埋めればいい。
そう思っていたときは、「誰か」や「何か」がなくなることに耐えられませんでした。

たとえば恋愛なら、一緒に過ごしているときはいい。だけど離れている時間が耐えがたかった。
それが、自分の心の空洞を感じなくなってからは、「一緒にいるときも楽しいけど、離れていても安心できる」に変わっていったのです。

LINEの返事がなくっても「あ、忙しいんだな」とか「別に返事しなくてもいいって思ってるんだな」とか、すんなり思えるようになり、相手を放っておいても大丈夫になりました。
「私のこと、想ってくれてるもんね」がベースにあるため、離れているときも一緒にいるのと同じ感覚でいられるようになりました。
「相手からの愛(想い)を受け取る」ことができるようになったから、離れているときも安心と感じられるようになったんですね。

このA子さんとは、私自身の体験談です。

何かで埋めなければという感覚。その感覚があると、外側から何かで埋めたくなるものです。
そして、外側からうまく埋められない(恋人ができない、恋人が思うようにかまってくれないなど)が問題だと感じます。

だけど、実は外側の問題ではなく、自分の心の内側の問題だったんです。

自分の気持ちを受け容れたり、誰かに自分の気持ちを打ち明けて受け容れてもらったり。
そうやって自分の心と向き合い始めると、ちょっとずつ空洞は小さくなっていきます。

いっきには、変わりません。
少し時間はかかるかもしれません。
だから「ぜんぜん変わらないじゃないか」といういら立ちを感じることもあるかもしれません。
だけど、自分の心と向き合いはじめる前に比べたら、空洞はだんだんと小さくなっていたりします。

もしいま、心にぽっかり空いた空洞があることに、しんどさを感じているなら。
埋めようとする行為をしている自分を、責めないでくださいね。
いまは、そうすることで心のバランスをとっている。そう思ってみてください。

そして、心が満たされる状態になってみたい。
そんなふうに思ってみる。

以前は心に穴が開いていたこと、すっかり忘れていました。
すっかり忘れるほど、いつのまにか埋まってました。

だから、あなたの空洞もきっと埋まります。

ひとりでやろうとせずに、どうかお手伝いさせてくださいね。

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中村陽子/心理カウンセラー
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