ありのままの自分を受け入れるって、何だろう? インナーチャイルドの声を聞く
中村陽子です。私は若いころから、「〇〇な心理学」系の文庫本をよく読んでいました。
ありのままの自分を受け入れる。
自分を好きになることが大事。
そんな言葉が書かれていたけれど、
「ありのままの自分を受け入れるって、どういうことか、わからない」
と思っていました。
カウンセリングを学び始めて、「癒し」という言葉に出会いました。
最初の頃は、「癒し」という言葉が嫌いでした。
癒しの一言でくくられるのが、嫌だったのだと思います。
でもそのうちに、抵抗がなくなっていきました。
◇ ◇ ◇
私の中に長い間、「人には理解されないだろうと思っている自分」がいました。
それは、ネガティブを引き受けてくれていた自分です。
インナーチャイルドとも、呼ばれます。
その子はずっと長い間、痛みを背負ってくれていました。
その子はひとりで、暗い穴にこもって、痛みを抱えてくれていました。
その子がネガティブを背負ってくれたから、社会生活を送って来られた気がしています。
その子をね、長い間、切り離してきたんです。そして封じ込めてきたんです。自分の心の奥に。
「あのね、ここが痛いの」
人には言えなかったから、その子はずっとその思いを、一人で抱えてきたのだと思います。
自分の中にたくさんのインナーチャイルドがいるのだけれど、
ようやく「いろんな思いをずっと背負ってきてくれて、ありがとう」と思えるようになりました。
たぶんそれは、わかってくれる人に出会い、わかってもらったという体験をしたから。
その子はずっと、わかってくれる誰かを探し続けていたのです。
そこから、変わり始めました。
◇ ◇ ◇
この子はいい子、この子はよくない子。とかはない。
ネガティブな自分もいていいし、暗い自分もいていいし、人には見せられない自分がいてもいい。
自分の中のいろんなインナーチャイルドたちは、それぞれ、そこに存在している理由がある。
自分の中のチャイルドたちが
あるとき、「もう、踏ん張らなくてもいいのか」と、思うときがくるかもしれません。
そのとき、その子は背負ってきたものを降ろすでしょう。
そして、「陰の自分を”黒い自分”と思ってきた。人には決して見せられないと思ってた。でも、ぜんぜん黒くなんてなかった」と気づくでしょう。
そこには心やさしい、ピュアな自分がいることに気づくでしょう。
陰だった自分こそ、やさしく美しい自分なのだと気づくでしょう。
ずっと背負ってきた何かが、解き放たれる瞬間。
自分を認める、ありのままの自分を受け入れる……。
それは、自分の中のすべての自分に、「これまで一生懸命、存在してきてくれてありがとう」と思うことではなかろうかと、感じるようになりました。
自分の中のチャイルドに、ありがとうと言ってみる。
ありがとう。これまで私のため、僕のために頑張って来てくれてありがとう。
しんどさを背負ってきてくれてありがとう。
その子たちは、いつだってあなたの大切な一部です。これまでも、これからも。