恋愛心理学

何でもいうことを聞いてくれる彼(夫)とドキドキする彼と。二人の間で揺れ動てしまう

中村陽子/心理カウンセラー

二人の男性の間で気持ちが揺れ動いてしまう。
一人は、自分のことを何でもわかってくれる彼(夫)。
もう一人は、一緒にいるとドキドキするような彼。

自分のことをわかってくれる彼(夫)は、まるで家族みたいな存在。一緒にいて居心地がいいし、自分のことをなんでも話せるし、どんな自分を見せてもいいし、わがままも言えちゃう。そして、なんでも言うことを聞いてくれる。

だけど、何でもいうことを聞いてくれる彼には男を感じることができなくて。
仲がいいし、一緒にいて楽しいけど……恋愛っていうよりは家族って感じ。
一番の問題は、セックスする気になれないこと。

彼と仲がいいのは自分ではわかってるけど、いつも心のどこかに「ほんとにこの人でいいんだろうか」という気持ちが出てきてしまう。

そんなふうに思っていたら、ドキドキする彼が現れた。
ドキドキする彼と一緒にいるときは、自分が女だと感じられる。
ドキドキする彼に気持ちはどんどん傾くけれど、この彼は彼女持ち。

気づくと、こんなふうに
家族みたいな何でもいうことを聞いてくれる彼と、男を感じる彼と。
二人の男性の間で揺れてしまうパターンを繰り返している。

家族みたいな彼(夫)とドキドキする彼の二人を求めてしまう理由

実は、二人の男性の間で揺れ動くパターンを持っている人は少なくありません。

やさしい夫がいるけど(長い間付き合っている彼がいるけど)、ドキドキする彼を求めてしまったり。

こんな二人の男性の間で揺れ動くパターンをもっているとき
家族のような彼(夫)って、どんな存在になっているでしょうか?

お母さんっぽい存在。
え? お母さんっぽい存在???

そうなんです。
彼をお母さんっぽい存在にしてしまっていることは少なくないんですね。

彼を「理想のお母さん」にしていない?

しかも、実際のお母さんとは違います。
お母さんにしてほしかったことを満たしてくれる、理想のお母さん的な存在です。

子ども時代にいい子でいた女の子が、大人になって彼を作った。
その彼は、何でも受け止めてくれる彼だった。

すると、子どものころに我慢していた欲求があれもこれも出てきて、甘えたり、わがまま放題してしまったりするんです。
お母さんに満たしてもらえなかったニーズがどどどーっ出てきて、それを彼に満たしてもらおうとするわけです。

この彼が、男っぽくないからドキドキしなくなったのではなく
彼を「理想のお母さん的存在」にしてしまったから、ドキドキしなくなった。
そんなふうに言えるかもしれません。

え? そうなの?
そうなんです。

どこか、心当たりはありませんか?
彼は、自分のわがままをなんでも聞いてくれて、どんな悪い子の自分を見せても受け入れてくれて、あれしてほしい、これしてほしいという欲求を何でも満たしてくれる存在だったりしませんか?

彼が満たしてくれているのは、昔、母親に満たしてほしかったけど、満たしてほしいと言えなかったものだったりするんですね。

お母さん的な彼がいるから、外の世界に漕ぎ出せる

彼は、子どものころにほしかった「安全基地」とも言えるかもしれません。

理想のお母さん的な彼がいてくれる、私を見てくれている。
そんな彼がいてくれるからこそ、私は大海原に船を漕ぎだせる……。

そして仕事をバリバリやったり(二番目の彼を見つけたり)できるわけなんですね。

家族みたいな何でもいうことを聞いてくれる彼の存在は、ある意味、心の安定剤。
だけど……。
セックスは、できない。

そうなんです。
お母さん的な存在とはセックスできないわけなんです。
お母さんだから……。
「彼とはそういうの、無理なの。ほんと無理~」って、思いますよね。

仲はいいのに、セックスはできない。
その手のお話はほんとーーーに、いっぱい伺います。

どうして彼が「お母さん的存在」になっていったのかというと。
何でもいうことを聞いてくれ、どんな自分も受け入れてくれたからだったりします。
何でも受け入れてくれるから、「あれもして、これもして」とどんどん要求するようになります。
子ども時代に我慢していた分、彼にニーズを満たしてもらおうとするかもしれません。

で、彼は何でもいうことを聞いてくれて当たり前に思えてきます。
そして、彼をだんだん下に見るようにもなっていくんですね。

すると、こんなふうにも思うんです。
「この彼とずっと一緒にいて、ほんとにいいのかな? 私」

彼を下に見ている分だけ、彼をつまらなく感じてしまうため、「女としての満たされなさ」を感じてしまうんですね。

その結果、男として見られる存在を、外に求めます。
二人目の男性が登場です。
二人目の男性は、彼にない魅力を持っているし、なによりも「男」として意識することができる。そして、セックスもできます。

家族みたいな彼(夫)には感じない、ドキドキを感じます。
家族みたいな彼(夫)には感じない、「この彼すごいな」という尊敬を感じます。

そして、二人の男性の間で揺れ動くことになるわけです……。

一緒にいてドキドキするのは、二人目の彼。
この彼といるとき、私は女になれる。

だけど、家族みたいな彼(夫)と別れたいとも思わない。
もの足りなさはあるけど、彼とは仲がいいしいちばん居心地がいいから。

とはいえ、二人の彼の間で揺れていると「私、なんかひどいかも」という気持ちが出てきます。
このままじゃ、いけないよねと。

家族みたいな何でも言うことを聞いてくれる彼(夫)と、ドキドキを感じる彼と。
どちらを選べばいいんだろう……。

どちらでも、自分が選びたいと思う相手を選ぶしかないんですよね。

もし二人目を選んだとしても、一人目の彼(夫)にもらっていたものを求め始めたりします。
だけど、この彼からは同じようにはもらうことができず、それが原因でケンカになるかもしれないし、「こんなはずじゃなかった」と思うこともあるかもしれないんですね。

彼がつまらない存在に思えているなら……

二人はそれぞれまったく違う要素・魅力を持っているように感じています。

一人目の彼は、何でも言うことを聞いてくれる、精神的な安定をくれる人。
二人目の彼は、男を感じるし、尊敬できるところがいろいろある人。

どちらかを選んだら、もう片方が満たしてくれているものを諦めなきゃいけない。
そんなふうに感じてしまうんですね。

けれど、ほんとうは「見えなくなっているだけ」だったりするんです。

一人目の彼には「男を感じられなくなっているだけ」なんですね。
彼にも男の部分はあるし、すごい部分はほんとはあるんですよね。

少なくとも付き合い始めたころには、彼をいまよりは男として意識できていた。
だけど、彼の男としての部分や素敵に思えていたところを感じられなくなってしまっているんですよね。

何でも言うことを聞いてくれるからと
彼を下げてしまった分、彼のすてきなところが見えなくなってしまっているだけなんですよね。

だとしたら、見えなくなってしまっているものを取り戻していくということもできるかもしれないんですね。

なぜ彼にお母さんを求めているんだろう

一人目の彼を選ぶにしても、二人目の彼を選ぶにしても。
ふたりの男性との間で揺れる恋愛のパターンを持っているなら
実は、お母さんとの関係を見直してみるといいんですね。

一人目の彼は、もともと受容力のある女性性の高い男性だったのかもしれません。
けれど、彼は最初から「お母さん的存在」だったのかというと……。

何でもいうことを聞いてくれるこの彼に、お母さん的なものを求め続けたから、彼がどんどんお母さんのポジションに入っていった。
そんなことのほうが多いんじゃないかと。

これは相手を変えても、同じようなことが続きます。
新しい男性と付き合っても、やっぱりお母さん的なものを求めてしまうんですね。
そして、新しい彼がそれを満たしてくれないと「なんで?なんで?」と不満に感じてしまったりします。

まあ、なっちゃいますよね。
求めちゃいますよね。
それだけ子ども時代からたくさんの我慢をしてきたのかもしれないから。

求めることが、いいとか悪いとか、そういうことではぜんぜんないんです。
だけど、彼を理想のお母さんにしなくてもよくなったら……。

彼(夫)との絆を深め、仲のいいパートナーシップを築きながら、男としての魅力も感じられる。そんな関係をつくっていけるかもしれないですよね。

自分がほしいものを、二人の男性に別々に、求めなくてもよくなるかもしれないですよね。

どんなパートナーシップがほしいだろう。
どんなパートナーシップをつくっていきたいだろう。
自分がほしいパートナーシップをあれこれ思い巡らせてみるといいかもしれません。

そして、自分の気持ちも見ていくといいんですね。。

彼に何を求めてるんだろう。
ほんとうは誰に求めたかったんだろう。
自分の中にチャイルドがいるとしたら、その子はどんな気持ちを抱えているだろう。

まずは、そんなことからみていくといいんですね。

その気持ちをちゃんと抱きしめてあげること。
自分でちゃんと抱きしめてあげること。

だけど、ひとりでやろうとしないでくださいね。
ひとりでやらなくて、いいんです。
なんでもひとりでやろうとするのって、さびしすぎるから。

どんな気持ちがあったのか。
誰かと一緒にみていってくださいね。誰かに聞いてもらってくださいね。
一緒にみつけていきませんか。お話を聞かせてくださいね。

この記事の執筆者
中村陽子/心理カウンセラー
中村陽子/心理カウンセラー
4500件以上の個人カウンセリングを行う。婚活がうまくいかない、片思い、異性とお付き合いしたことがない、出産タイムリミットへの焦りなど、女性の生き方のお悩み、人生やり直したい、何がやりたいのかわからないなど自己実現のお悩みを数多くお伺いしています。 30代後半に子どもがほしいと結婚し、39歳で離婚して、40代前半は諦め&人生迷子のどん底期を味わい、45歳から「50代、60代でも花開く人生」をつくりはじめて、今にいたります。 自分らしい生き方のお手伝いしています。 ツイッター@nakamurayoko70
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