恋愛心理学

自分は迷惑な存在なんじゃないか〜しんどい生き方からの卒業

中村陽子/心理カウンセラー

子どもがほしいか、わからない
人と一緒にいるのがしんどい
いつも人にどう思われるかを気にしてしまう
というお悩みを聞かせていただくことがよくあります。

このお悩みの背景には、いくつか代表的なものがあるのですが。
今日はその中のひとつ。

自分は迷惑な存在なんじゃないか。
私は生まれてきてよかったのだろうか。
生まれてきてごめんなさい。

という気持ちについてのお話です。

子どもがほしいかわからない。
だから、婚活も気が重かった

シングル女性のA子さんは
結婚したいと思いながらも
子どもがほしいかわからない気持ちが引っかかって、婚活ができずにいました。

子どもがほしいかどうか、わからないーー。

この気持ちがあるがゆえに、パートナーをもつことを遠ざけることは、実は少なくないんです。

もし結婚したら、相手から子どもがほしいと言われるかもしれない。
だけど自分は、それに応えられるかわからない。
だから、結婚したいと思いながらも、行動できない。
A子さんも、そんな一人でした。

A子さんには、他にも悩みがありました。

人となじめない、人の輪の中に入れない。
子どもの頃にいじめられやすかったこともあり、人からちょっと強い口調で話されると心を閉ざしてしまうのでした。

「人からちょっと何か言われると、すぐ傷ついてしまうんです」

その背景には、こんな気持ちがあったのです。

私はここにいて、いいのだろうか。
迷惑だと思われてないだろうか。

自分が自分の存在意義を疑っているような気持ち。

「自分は迷惑な存在なんじゃないか」と思っている分だけ
人から何か言われたとき、「ほらやっぱり、迷惑なんだ」と感じて傷ついてしまっていたのです。

こんな気持ちをいつも感じていたら、生きづらいですよね。
人の輪の中に入るのが、苦手にもなりますよね。

だけど、どうしてこんな感覚を持つようになったんだろう。
A子さんの背景を探っていくと、見えてきたことがありました。

お母さんのお腹の中にいるとき
私、迷惑なのかなと思ってしまった

A子さんの両親は、A子さんが小さい時に離婚。

「両親はできちゃった婚だったけど、お父さんの借金が発覚したのがきっかけで私が1歳のとき、離婚したんです」

A子さんを妊娠中、お父さんの借金が発覚。
お母さんは、絶望的な気持ちになったといいます。

人は、受胎したときから感情を感じているという説があるんです。

もしかしたら、お腹の中にいたA子さんは、こう感じたかもしれません。

「私の存在は、喜ばれていないのかもしれない。
私がお腹に来ちゃって、迷惑だったんじゃないか・・・」

カウンセリングの中でそんな話になったとき。

A子さんは、こう言いました。

「人に迷惑をかけてはいけないと、昔からずっと思ってました。
すみませんが、口癖で。『ここにいて、すみません』っていつも思ってました。
お店の店員さんにさえ、『私がここにいてすみません』と思っていたほどです」

これまで生きてきた間、ずっと
A子さんは、そう思っていたそうです。

だから、甘えることもできなかった。
私は迷惑じゃないのかな、ごめんなさいって、いつも思ってた。

子どものときから「自分は迷惑な存在」と感じてきたとしたら。
もし自分に子どもができたとき、その子も、同じつらさを味わうのではないか。
そんなの子どもがかわいそう。

こんなふうに感じることは、すごく多いんです。
自分が子ども時代つらかった分、自分の子どももつらい子ども時代を送るんじゃないかと感じるんです。

だから、「子どもがほしいかどうか、わからない」と感じている。

だけど逆説的ですが
産む前から「子どものことをそれだけ思う気持ちがある」ともいえるんですね。

A子さんのこの誤解を解く鍵ーー。
それは「親からの想いを受け取る」ことにありました。

離婚後、1回しか会ったことのない
お父さんからの想い

シングルマザーのお母さんのもとで育ったA子さんは、
「自分はお母さんにとって、迷惑な存在なんじゃないか。
 私が生まれてこなければ、お母さんの人生は違っていたんじゃないか」
ずっとそう思って生きてきました。

そんなA子さんの「自分は迷惑な存在なんじゃないか」という疑念を解き明かすひとつの鍵が、お父さんからの想いに気づくことにありました。

A子さんを授かった時、お父さんはすごく喜んだそうでした。
離婚後も、ずっと養育費を払い続けてくれたといいます。

借金、あったかもしれないけど。ずっと養育費、払ってくれてた。
それってお父さんにとって、A子さんは大切な存在だったということですよね。

お父さんは何度も、お母さんとよりを戻したいと言っていたそうです。
そうしたら、子どもと一緒にいられるから。
お母さんに断られても、何度も何度も。

離婚後、お父さんと会ったのは小学生のときに1回だけ。
お父さんだとわからず、「知らないおじさん」と思ったそうです。
その後、A子さんが中学生のときにお父さんは亡くなりました。

カウンセリングで、お父さんについて話していく中で
お父さんからの想いが見えてきたのです。
それまではぜんぜん気づかなかった、お父さんからの想いに初めて気づいたのです。

「お父さんに愛されていたんですね。生まれてきたことを、喜ばれていたんですね。私、ぜんぜん迷惑な存在なんかじゃなかったんだ」

それどころかA子さんの存在は、お父さんがこの世界にいた証。
A子さんが幸せでいることは、お父さんの喜び。
それは亡くなったいまも、変わらないはず。

そんな話をしながら、A子さんはお父さんの想いを受け取っていきました。

カウンセリングで、お父さんの想いに気づいて以降
生きる世界が変わったといいます。

「いつも、私は迷惑じゃないですか? 
ここにいていいんですか?と思ってた。
カフェの店員さんにも、気を遣うレベルでした。
私、迷惑じゃないですかって。

いつもいつも、不安だった。
居場所がなかった。

それが、いまは楽しいんです。
自分がこの世界にいることが、楽しいんです」

お父さんから愛されていたことに気づいた。
お父さんからの愛を受け取った。
お父さんにとって、自分は喜びの存在だったとわかった。

だからこそ、亡くなったお父さんの分まで、生きよう。
A子さんは、そう思ったのかもしれません。

1回目のカウンセリングは、こんな話で終わりました。

子どもへのイメージが変わった

そして2回目のカウンセリングでは、
お腹の中に赤ちゃんがいるのをイメージしてもらいました。
なぜか、赤ちゃんの話になっていったのです。

すると、A子さんの口からこんな言葉が。

生まれてきて、いいんだよ。
歓迎されてるからね。
その胎動が、かわいいよ。

「すごく幸せな気持ちになりました。私、子どもを愛したいんだなって思いました」

心の奥に眠っていた、自分の願いとつながったとき
何が自分にとって幸せなのかがわかります。

それがわかると、おのずと行動もできるようになるんですね。
ほしい幸せに向かって、動き始めたりするんです。

カウンセリングを受けてから
自分を大事にしようと初めて思えた

カウンセリングを受けたあと、A子さんからこんなメールをいただきました。

陽子さんのメルマガの<「自分を幸せにする」と決めてみた>を読んだとき
そうだ、まずはそうすると決めてみようと決意に満ちた気持ちになりました。

パートナー探しはひとまず置いて、今年は自分を探求してみようと、
ずっとコンプレックスだった外見に向き合うことにしました。

勇気を出してイメージコンサルタントの方に依頼しまして、
自分に合うメイクを教えてもらったり、一緒に服を選んだり。

私ってこんな顔になるんだ、大切に扱われていいんだ、と思えたら
人に合わせすぎて疲弊しがちだったところにも、
少しずつですが、境界が引けるようになりました。

外見に意識が向いたら、自分の女性性を使えていないことにも気づきました。
陽子さんのブログにもある通り、理由は様々浮かぶのですが
目立つのが怖い、恥ずかしいという気持ちは、昔からずっとあった気がします。

自分のセクシャリティを解放できたら、、最高だろうなと思います。
来年はこのテーマについて、ご相談できればうれしいです。

子供がほしいかわからない、という
ふわっとした悩みから始まったカウンセリングですが
ここに辿り着けたのは陽子さんとのセッションのおかげです。
本当にありがとうございます!

またお会いできることを楽しみにしています。

自分がここにいていいんだろうか。
いつもビクビク過ごしていた。
人に合わせてばかりで、疲れ切っていた。
人からちょっと何か言われると「やっぱり私は迷惑なんだ」と感じて、傷づいていた。
だから、人に近づけない。男性にはもっと近づけない。

「自分を大事にする」「自分のために何かする」なんて発想もなかった。
生まれてきてごめんなさい、と子どもの頃からずっと思ってたから。
楽しむってこと、ほとんどしてこなかった。

ちょっと前まで、A子さんはそう思いながら暮らしていました。

それが「親にとって自分は喜びの存在なんだ」と感じられたことで
180度、見える世界が変わった。

生きているのが楽しい。
毎日が楽しい。

これまで生まれてきてごめんなさいって、自分を生きることを遠慮してきたけれど。
まずは、自分のやってみたかったことをやろう。

自分のやってみたかったことをやる、まずは自分を満たす。
自分を大切に扱う、大切に扱ってもらっていいんだと思う。

そうやって、A子さんはまるで、さなぎから蝶になったように変わり始めています。
自分自身を愛せるようになり、自分の人生を楽しんでいいんだと思い、本来のいきいきとした生命力と喜びのエネルギーが、どんどん溢れはじめているかのようです。

A子さんのように、幼いころの誤解から、自分を閉じ込めて生きている人は、決して少なくありません。

心の奥底にある誤解が解き放たれたとき、抑え込んできたエネルギーが解き放たれ、新たな人生の物語が幕が開いていきます。

もし、A子さんと同じように生きづらさを感じているとしたら。
いつでもお手伝いします。
一度、お話聞かせてくださいね。


この記事の執筆者
中村陽子/心理カウンセラー
中村陽子/心理カウンセラー
4500件以上の個人カウンセリングを行う。婚活がうまくいかない、片思い、異性とお付き合いしたことがない、出産タイムリミットへの焦りなど、女性の生き方のお悩み、人生やり直したい、何がやりたいのかわからないなど自己実現のお悩みを数多くお伺いしています。 30代後半に子どもがほしいと結婚し、39歳で離婚して、40代前半は諦め&人生迷子のどん底期を味わい、45歳から「50代、60代でも花開く人生」をつくりはじめて、今にいたります。 自分らしい生き方のお手伝いしています。 ツイッター@nakamurayoko70
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