恋愛心理学

女らしくない自分は男性をつぶしてしまうかもしれない〜問題の下にギフトがあるとしたら

中村陽子/心理カウンセラー

問題の下に、その人のギフトや才能があるといいます。

これはある人の話です。
人生かけて、うまくいかないと悩み続けた人の話です。
「自分は女らしくない」「女らしくない自分はだめなんだ」とずっと思い続けた人の物語です。

A子さんと呼びますね。
A子さんは、40代になってから婚活を始めました。

それまでぜんぜん、ロクにメイクもしたことがなかったから、
こんな私じゃ男性に好かれるわけがないと思っていました。

それでもファッション誌を読んで、服やヘアスタイル、メイクを研究し
なんとなく、女子っぽいかっこうができるようになりました。

だけど、次々にうまくいかないことが起きました。
出会った男性と、ご飯に食べにいきますよね。
いろいろ話をしますよね。
だけど、2回目のデートにつながらないんです。

話は盛り上がったつもりなんだけど、2回目がない。
どうしてか。

男性に勝ってしまうからでした。

相手がどこどこの国に旅行に行ったんだよと言うと、それよりもマニアックな旅行先を挙げて「私はこんな国に行きましたよ」と言ってしまうんです。

相手の仕事の話にも、「私だってこういうこと、知ってますけど」と被せてしまう。男性に勝とうとしちゃうんです。

だから、2回目のデートにつながらなかった。

ぜんぜん女子っぽくない自分って、ほんとにダメだな。
どうして、こんなふうになっちゃったんだろう。
自分の生活を自分でなんとかできるようにって、
仕事を頑張ってきたこの生き方がいけなかったんだろうか。

だけど、A子さんは自分より強い男性を求めていたんです。

言葉にすると、こんな感じ。
私が相手でも、つぶれない男性がいい。
私が強すぎて、相手をつぶしちゃうかもしれないから。
私が相手でも、つぶれないくらいの男性じゃないとだめなんだ。

彼女がここまで「自分は女らしくないから」「自分は強すぎちゃうから」と思っているのには理由がありました。

A子さんは相手を背負ってしまうところがありました。
以前、長い間お付き合いしていたカメラマンの彼がいたのですが
「彼は経済的に不安定だから、自分が大黒柱にならなきゃ」と思っていました。

だけど、本音をいえば頼りたい気持ちもありました。
だから「才能があるのに、どうして仕事をとってこれないの!」と
ときどき彼にキツく当たっていたんですね。

彼に活躍してほしい。
純粋に彼の才能を思う気持ちもあれば、
本当は頼りたい気持ちもあったんです。

だけど結局、彼になかなか仕事がなくて
仕事のない毎日を送るようになりました。

3年くらい経ったころ、毎日何もせず
力を持て余している彼の姿を見ているのがつらくて、別れたといいます。

次に付き合った彼は、アルバイトをしている彼でした。
働いているだけ、ラクだったんです。

だけどやっぱり、自分が大黒柱にならなきゃと思う分だけ、
彼にキツく当たってしまうことがあったんですね。

すると彼から、「A子と一緒にいるのがつらい」と別れを切り出されたのです。

そのとき、こう思ったといいます。
自分がキツすぎるから、強すぎるから、別れることになったんだ。
カメラマンの彼だって、自分が強すぎたから、彼をつぶしてしまったんじゃないか。

もっとふつうの女子みたいだったら。
男性を頼るような女子っぽい自分だったら。
もしかしたら、彼を男にしてあげられたかもしれないのに。
自分が強すぎたから、いけなかったんだ。

そうやって
自分に×印をつけるようになったんです。
こんな私は、好かれないって。

自分で自分に×印をつけているとき
誰かから「好かれる」とは、思えないものなんです。

好かれると思えない分だけ
こんな自分では好かれるわけがないと思っている分だけ
「きっとこういう子なら、男性から好かれるはず」というものになろうとします。

それは「強すぎる自分」とは正反対の
やさしそうで、助けてあげたくなるような女性。

だけど、なれないんです。
それは、本来の自分ではないから。

「自分ではない何者か」に、なろうとして
そして、そうなれない自分にダメ出しをしてしまうのです。

「うまくいかないのは、やっぱり自分に魅力がないからだ」って。
それを何年も続けました。

そして、こんな自分はだめと思いすぎて、自分のことがよくわからなくなったころ
ふと、思ったといいます。

「もしかして、自分のことを責めすぎているかもしれない。
 もう十分に反省したのに、ずっと責めてる。
 責め続けていても、そこからは何も生まれないかもしれない」

それを機に、底を打ったといいます。
こんな自分はだめだ、という負のループの底を打ったのです。

そこからカウンセリングを受けて、自分の心と向き合いました。

どうしてこんなに強い自分になったのか。
どうして、誰かを背負う生き方になったのか。

いろんなことを振り返りながら、心を取り戻していったのです。

自分の心と向き合って、自分につけてしまった×印を外した分だけ
生きるのがラクになったといいます。
無理をしなくなった、苦行のような働き方をしなくなった。
明るくなったし、自分らしいいきいきとした感じも出るようになった。

婚活で出会った男性とデートして
相手に気に入ってもらえることも増えました。

だけど、なかなかパートナーができることはありませんでした。

さんざん心と向き合って
女性らしいやわらかさだって持ち合わせるようになったのに。

A子さんの心の中にまだ
「自分は男性をつぶしてしまったから」
という自分を許せない気持ちがぬぐえないでいたのです。

だけど、言い換えれば、それほどまでに
「男性を伸ばしてあげられる自分になりたい」という思いがあるということ。
「男性に幸せをあげられる自分になりたい」という思いがあるということ。

その想いの深さの分だけ
こんな自分では、まだまだだめなんだと
心の奥で思っていたのです。

これを「ギフト」と呼びます。
心の奥にある、自分にとってとても大切な願いや想い。
その人の才能とも、いえます。

育ってきた中で、このギフトを持つようになったのか
生まれながらにこの世界に持ってきたものなのかは
わかりません。

だけど、このギフトは
自分だからこそ持つ、大切な想いや願いなのです。

それをうまくカタチにできないとき
「こんな自分はだめだ」と感じてしまうのです。

A子さんの「男性を伸ばしてあげたい」という想い。
自分の力で相手をなんとかしようしたとき、
逆に相手に負荷をかけ、伸ばすことができませんでした。

やり方は、間違えてしまったかもしれない。
男性が力を発揮しようと思う、その心理を知らなかったから。
だとしたら、新しく学べばいい。自分を否定するのではなく。

A子さんのように
「男性へのその人なりの想い」を持ち
それをうまくできなかったことで、自分を責めて

好きな人をつくらないでいること
うまくいかない恋愛ばかりしていること
実は、少なくないんです。

自分にパートナーを持つことを許可していないこと
実は、少なくないんです。

そして自分の愛したい気持ちを注ぐことができないジレンマを抱えていることも
実は少なくありません。

悩みや問題の下には、ギフト・才能があるといいます。
それは、そこに才能があるからこそ、ずっと悩み続けてきたのかもしれないともいえるんです。

B子さんは
男性に居場所を与えてあげたいという想いの持ち主でした。
だけど、それができなかったとき
ひどく自分を責めてしまっていたのです。
「こんな自分はだめだ」と、何年もの長い間。

だけど、そんな想いの持ち主のB子さんのパートナーになる人って
きっと幸せだろうなと思うんです。

長い間悩んできた問題の下に、
あなたにとって大切な想い、願いがあるのかもしれません。

それを使えるようになること、活かせるようになること。
実は自分の想いや願いを生きられているとき、幸せを感じることができるのです。

そうそう、こんなふうに生きたかったんだという想いを味わうことができるのです。

もし、いま
何か窮屈な感じがしていたり
自分を生きられていない感じがしていたり
ほんとうはほしいものが手に入っていないとしたら
悩みや問題の下にある大切なものを、見つけていきませんか?

この記事の執筆者
中村陽子/心理カウンセラー
中村陽子/心理カウンセラー
4500件以上の個人カウンセリングを行う。婚活がうまくいかない、片思い、異性とお付き合いしたことがない、出産タイムリミットへの焦りなど、女性の生き方のお悩み、人生やり直したい、何がやりたいのかわからないなど自己実現のお悩みを数多くお伺いしています。 30代後半に子どもがほしいと結婚し、39歳で離婚して、40代前半は諦め&人生迷子のどん底期を味わい、45歳から「50代、60代でも花開く人生」をつくりはじめて、今にいたります。 自分らしい生き方のお手伝いしています。 ツイッター@nakamurayoko70
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