自己肯定感

「人間関係がうまくいかない」から抜け出すコミュニケーションとは

中村陽子/心理カウンセラー

人間関係がうまくいかなくて、悩むことよくありますよね。

友達、恋人同士、職場など……さまざまな人間関係がうまくいかなくて悩みが生じるとき、よーく状況を見てみると、次のようなことが起っていることが少なくありません。


その1……。

友達から来たメールが、「敬語っぽい文章」だったとします。
そのとき、「なんか距離がある。よそよそしいな」と感じて、こちらも敬語っぽい文章で返信。
すると、それを読んだ友達も「敬語っぽい口調ってことは……嫌われたってこと?」と感じて、さらによそよそしい返信になる……。

友達から敬語メール→自分も敬語で返信→友達もさらによそよそしく返信→→お互いに距離が大きくなる

このコミュニケーションは、「相手の様子や態度に、反応している」状態です。
「相手の様子や態度を軸に、自分の出方を決めている状態」なんですね。

ここで覚えておいてほしいのは、
お互いが「相手を軸」に自分の出方を決めていったら「嫌われたのかな?」とお互いに感じて距離が開いてしまうこともある、ということなんです。

だけど。友達が1通目のメールを送ってきたとき、たまたま友達は「引きこもりな気分」なだけだったのかも……ということもありうるんです。


その2……。
彼からのLINEが、最近減ったとします。
そのとき、「あれ? 私のこと、前より好きじゃなくなったの?」と感じて、彼に対して少し引き気味になったとします。
すると、彼も「あれ? 彼女がちょっと冷たくなった」と感じて、彼も少し引き気味になります。

そんな彼の態度を察知して、「やっぱり私のこと、好きじゃなくなったのかも」と思い、「仕事が忙しくて会えないのは、私のこと好きじゃなくなったからだ」とちょっと前の出来事もそう思えてきて、彼に会うと「もう終わりにしたほうがいいのかな?」と泣いてしまい、彼に「距離を置いたほうがいいんじゃないか……」と言わせてしまうことも、大いにありうるかもしれません。

これも、「彼の様子や態度を軸に、自分の出方を決めている状態」なんですね。

相手の気持ちにも、意識を向けてみよう

ここで、少しイメージしてみてください……。
彼に会うときに、「私のこと、もう好きじゃないのかも」という気持ちの彼女は、果たしてどんな表情をしているでしょうか。

1.彼に会えるのが、超うれしいっ♡ とウキウキした表情
2.私のこと、好きじゃないんだよね… と暗い感じの表情

そんな彼女の表情を見た彼は、何を感じるでしょうか?

1.彼女は僕といると、楽しそう。僕が彼女を幸せにしてるんだな。
2.彼女は僕といても、つまらなそう。僕じゃ彼女を幸せにできないんだな。

デートのたびに、こんなことが繰り返されているとしたら、「距離を置いたほうがいいのかもしれない」と彼が思ってしまうのも、うなづけるかもしれませんよね。

相手の様子や態度に反応しているとき、実は「自分の気持ち」だけを見ていたりします
「相手に受け入れられていない気がする。それが悲しい」という自分の気持ちに、意識が向いてしまっているんですね。

このとき、抜け落ちてしまうのが「相手も、同じ気持ちかもしれない」という視点です。
「私のこと、好きじゃないのかも」と感じて相手と距離を取ったとき、相手も「僕のこと、好きじゃないのかも」と感じているかもしれないんですね。

「仲良くなりたい」想いを大事にして、相手に橋をかける

「相手に、受け入れられていないんじゃないか」という気持ちになること、あります。
「私は、好かれてないよね」という気持ちになることも、あります。
しょっちゅう、ありますよね。

このとき、できれば試してみてほしいことがあります。
それは……
「それでも、こちらから勇気をもってコミュニケーションしていく」ということなんです。

「あなたは私のこと、もしかしたら好きじゃないのかもしれない。だけど、私はあなたと仲良くなりたいと思ってますよ」とコミュニケーションをしていく……。
自分の想いを大事にして、相手に橋をかけていくんです。

もしかしたら、その1の友達は、「たまたま、その日、引きこもりモードだった」のかもしれません。
もしかしたら、その2の彼は、「仕事に意識を向けなきゃいけない状態だった」のかもしれません。

「私のこと、好きじゃないのかも」と一歩下がる方法ではなく、「それでも私は、あなたと仲良くしたい」と働きかけていくことができたら、「好きじゃないってこと?」という誤解を乗り越えることができるようになります。

もちろん、「どうして私から、そんなことしなきゃいけないの!!!」という気持ちにもなったりします。
なります、なります。

でも。
お相手のことが、たぶん好きなんですよね。
友達や恋人や職場の人たちと、仲よくしたい気持ちがあるんですよね。
だから、悩む……。

だとしたら、「本当は仲よくしたい」という気持ちを大事にして、えいっっっ!と一歩を踏み出してみる

「私のこと、受け入れてくれてないのかもしれない。それでも私は、あなたと仲良くしたい」という気持ちで、コミュニケーションをしてみる(一歩だけ)。
にこっと笑って「おはよう~」。
そんな小さな一歩です。

相手を伺うコミュニケーションから、自分の意志を軸にしたコミュニケーションへ。

10回に1回、10回に2回……自分から働きかけるモードになれたら。
あなたの住む世界が、変わるかもしれません。

あれ??? いままで何やってたんだろう。
「相手にどう思われてるんだろう」といつも気にして、疲れ果ててきたけれど。
相手は自分のこと、良いとも悪いとも思っていなかったのかもしれない。

そんなふうに、見える世界が変わってくるかもしれません

自分から「本当は仲良くなりたい」という気持ちで、近付いてみる(一歩だけ)。
「周りの人は、いい人たちなのかもしれない」と思い込んで、近付いてみる(一歩だけ)。

そうやって、本当は仲良くなりたい人たちと仲良くなっていくコミュニケーションを試してみてください。

もちろん、何度も何度も「私を受け入れてくれないのでは」という気持ちに、なります。
「彼は私のこと、嫌いになっちゃったかも」とか「友達から悪口を言われてるかも」と感じることもしょっちゅう起ります。
あります、あります。ふつうに起りますよね。

カウンセリングでも、「彼との間でこんなことがあった!」とか「職場でこんなことがあった!」と電話をいただき、そのたびに「本当に受け入れてくれるのかなという怖い気持ちが出てきてるのかもしれませんよね」とか「相手は機嫌が悪かっただけかもしれないですよね」と話していくと、電話が終わる頃には「そうなのかも。じゃあもう一度頑張ってみます!」と言ってくださること、多いんです。
そして、相手に橋をかけるコミュニケーションにチャレンジしていく……。

そんな姿を見るたびに、「すごい、すごいっ」と思うんです。
電話を切ったあとでも、「がんばれー!」という応援の気持ちがわきあがってきます。
そのくらい「やってみます!」の一言に、意志を感じるんですね。

意志ってね、「自分で自分の人生を作ってくぞ」ということなんですよね
意志の力とは、自分で自分の人生を作っていく力。

やってみた→「でも、受け入れてくれないかも」モードに→カウンセリングで気持ちを整理した→再びやってみた……その繰り返しに、意味があるんです。
繰り返しているようでいて、一歩一歩確実に進んでいますから。

何度も何度もチャレンジして、新しい自分になろうとしていく姿勢――。
本当にすごいです。
だって、勇気がいりますもんね。
この勇気の一歩が、人生を変えていくんですよね

小さなチャレンジを積み重ねながら
新しい自分になってみませんか?

この記事の執筆者
中村陽子/心理カウンセラー
中村陽子/心理カウンセラー
4500件以上の個人カウンセリングを行う。婚活がうまくいかない、片思い、異性とお付き合いしたことがない、出産タイムリミットへの焦りなど、女性の生き方のお悩み、人生やり直したい、何がやりたいのかわからないなど自己実現のお悩みを数多くお伺いしています。 30代後半に子どもがほしいと結婚し、39歳で離婚して、40代前半は諦め&人生迷子のどん底期を味わい、45歳から「50代、60代でも花開く人生」をつくりはじめて、今にいたります。 自分らしい生き方のお手伝いしています。 ツイッター@nakamurayoko70
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