「強い人」と見られがちなあなたへ

中村陽子/心理カウンセラー

自立女子。
強くて、凛としているといわれることも多いようです。

自分で自分のことは、なんとかして当たり前。
自分で自分のことをなんとかしない生き方は、考えられない。
と思って生きてきたタイプと言えるかもしれません。

もともと私は、超自立タイプの人間で、
「世界が滅びる日が来ても、なんとか生き延びなければ」と妄想するくらい、この世界は戦場であると思って生きてきたタイプなんですね。

そもそも、
世界が滅びる日が来るに違いないと思っていたということは
世界が安全であることをまるで信用していなかった、ともいえるんです。

自分の身は自分で守らなくては……。
いつの間にか、そんな眼鏡をかけて、この世界をサバイバルしなくてはと思うようになっていたんですね。

強くて当たり前。
もっともっと強くならなきゃ。
なにが起こるか、わからないから……。
そんな感じ。

そのため、友達も超自立タイプが多く
よくよく話を聞いてみると
「子どものころ、泳ぎを教えるからと、親に船から海に叩き落された」
「子どものころ、親が激怒したとき、池に頭から突っ込まれた」
「子どものころ、親によく投げ飛ばされた」
とか、なかなかなエピソードを聞いたりしていました。

超自立になるには、それなりの理由があったりするものです。
だけど、超自立の人たちは、それらを人に見せたりしません。

「どうしてこんなめに遭わなきゃいけないんだ」と怒る気持ちを内面に持ちつつも
だけど、人には言わないんです。
だって「うちのお母さん、こんなことしたんだ」って周りに知られたら、お母さんがかわいそうだから。

「どうしてそんなことするの、ひどい」って本当は言いたかったけど
言わないことで、誰かを守っていたりもするんです。

愚痴も、言わない。
ぜんぶ自分でなんとかする。
それは、自分を防衛するための方法でもあるのかもしれないけれど、
同時に、誰かを責めないための手段だったのかもしれません。
防衛とやさしさが、同居してるんです。

だけど、自分では「やさしさ」がなかなか見えていないんです。
だから、「強い自分」というアイデンティティを前面に出して生きていたりするんです。

いつの間にか、自分のことは全部自分でやるという態度を身につけた結果
できることを、たくさん持つようにもなります。

まだまだだ。
こんなんじゃ、まだまだだ。
そう思ってやり続けてきた分だけ、できること、できる量は確実に増えていきます。

でも、その生き方をずーっとやり続けられるかというと……
どこかで「もうムリだ。もう走れない」というときが来たりします。
場合によっては、ピンチに陥って、大打撃を受けたりもします。

そのときに、誰にも頼ることができないと
ポキリと折れてしまったりするんです。

限界までやったけど、これ以上打つ手がなかった。もうムリだって。
折れてしまったりするんです。

自分自身の経験を振り返ってみて
カウンセリングを受けることをし始めて一番変わったことは
困ったときに、相談できる相手がいるということでした。

しんどい、むりだ、どうしよう。
そんなときに、駆け込める場がある。
それは、自分にとって画期的な体験でした。

もしあなたが自立タイプ、超自立タイプだとするならば、
どうか弱音を吐ける場を持ってほしいなと思うんです。

きっと、人に弱音なんて言わないから。
「ほんと、上司の○○さん、いい加減にしてほしいですよね」くらいのことは言うかもしれないけど。
しんどい、つらいと言ったことなんて、ないんじゃないかな。

逆に、いつも元気でいなきゃと
しんどいときでも、元気に振舞っているんじゃないのかな。

もし、いやなことがあったときには
これがいやだった、あれがいやだったと
言ってくれたら、うれしいんです。

弱音とか
愚痴とか
こんなことがあった
あんなことがあった
もうやりたくない

あれがいやだった
これがいやだった

あなたからそんな言葉を聞かせてもらえたら
ほんとうに、とてもうれしいです。

この記事の執筆者
中村陽子/心理カウンセラー
中村陽子/心理カウンセラー
4500件以上の個人カウンセリングを行う。婚活がうまくいかない、片思い、異性とお付き合いしたことがない、出産タイムリミットへの焦りなど、女性の生き方のお悩み、人生やり直したい、何がやりたいのかわからないなど自己実現のお悩みを数多くお伺いしています。 30代後半に子どもがほしいと結婚し、39歳で離婚して、40代前半は諦め&人生迷子のどん底期を味わい、45歳から「50代、60代でも花開く人生」をつくりはじめて、今にいたります。 自分らしい生き方のお手伝いしています。 ツイッター@nakamurayoko70
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